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» 2016年01月13日 13時00分 公開

統計の食わず嫌いを直そう(その9)、昼休みにタダで統計分析をする方法山浦恒央の“くみこみ”な話(81)(2/3 ページ)

[山浦恒央 東海大学 大学院 組込み技術研究科 准教授(工学博士),MONOist]

2. 例題1:新人教育の効果検証

 次年度入社予定の新人に対し、E-learningで入社前教育を行いました。教育効果を評価するため、教育の前後でテストを実施し、結果を考察します(テストは100点満点。結果は表.1参照)。

表.1 E-learning前後のテストの点数
社員No 教育前(E-learning前) 教育後(E-Learning後)
1 50 54
2 84 89
3 78 84
4 61 77
5 94 91
6 99 100
7 45 56
8 73 78
9 38 55
10 80 78

2.1 仮説の設定

 「入社前のE-learningには効果があった」ことを統計的に証明したいので、それに沿った帰無仮説と対立仮説を設定します。

 帰無仮説と対立仮説については、前回のコラムでも解説しましたが、「王様の耳はロバの耳」であることを統計的に証明したい場合、無にしたい仮説、あるいは、否定したい仮説が帰無仮説で、「王様の耳は国民と同じである」という仮説です。対立仮説は、採用したい仮説、すなわち、「王様の耳はロバと同じ」になります。

「入社前のE-learningには効果があった」ことを証明したい場合、帰無仮説と対立仮説は以下のように設定します。

 ・帰無仮説:入社前教育として、E-learningの効果無し

 ・対立仮説:入社前教育として、E-learningの効果有り

 帰無仮説が無にならなかった場合、「入社前教育として、E-learningの効果無し」となり、教育手法を考えなおす必要があります。

2.2 データの分析

 データを整理・分析します。今回は、Excelの「分析ツール」内の「一対の標本による平均の検定」を使用します。よって、必要なデータは、E-learning実施前後のデータ(上記の表.1)があればOKです。

 Excelでの操作手順は次のようになります。

(1)「データ分析」から「一対の標本による平均の検定」を選択し、「OK」をクリックします。

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(2)データを挿入します。「変数1の入力範囲(1)」、「変数2の入力範囲(2)」に表.1のデータをそれぞれ入れ、「OK」を選択します。因みに、αを変更すると有意水準を変更できます(有意水準については、前回のコラムを参照。今回は5%なので0.05)。

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(3)結果が出ます。

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 両側検定ですので(両側検定については前回のコラムを参照)、注目する部分は「検定量(P(T<=t)両側)」と、設定した「有意水準(α値)」です(今回のαの値は0.05です)。(t検定では、検定量はp値とも呼びます)なお、「(P(T<=t)両側)」の見方は以下の通りです。

  • 「検定量(P(T<=t)両側)」 <= 0.05の場合、有意差有り
  • 「検定量(P(T<=t)両側)」 > 0.05の場合、有意差無し

 「P(T<=t)両側」は0.022ですから、0.022 <= 0.05となり、前後に差があることがわかります。結果として、「入社前の教育として、E-learningは効果がある」と判定できそうです。

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