プロモーションによってユーザーとの接点が増えれば、マーケティングも変わってくる。
例えば、ネジザウルスGTを開発する際には、過去に販売したネジザウルスの読者から寄せられた1000通の愛用者カードから潜在的なニーズを探ったそうだ。しかしその際、リクエストが多い機能を製品化すれば再び成功するとは限らない。「ユーザーが気づいていない潜在的なニーズを見極めるのが、マーケティングのポイントです」と高崎社長は言う。
その結果、ネジザウルスGTは先行シリーズでは不可能だったトラスネジを外したいというリクエストに応じた。トラスネジへの要望は、1000通の中のたった7通だったが、そこに潜在的ニーズがあったわけだ。ネジザウルスGTは、顕在化されていないニーズに応えてユーザーに驚きを与えた。その驚きが大きければ大きいほど、ユーザーの満足度も大きくなる。
そしてユーザーを満足させるためには、機能や性能だけではなく、デザインも重要な要素となる。
同社のデザインに対する意識は、販路を変えて以来、大きく変わった。プロ用工具を販売していた時は、機能が最優先でよかった。しかし、ホームセンターを販路にする以上、店頭に並ぶ商品の中で、いかにユーザーの目に止まるかが重要となる。そこでカラー、グリップ、パッケージデザイン、ネーミング……これら全てのデザインを見直したそうだ。
ネジザウルスGTのグリップは、社員が自ら立候補し、本業の傍ら3次元CADで設計をしたという。このグリップが、プロフェッショナルな外観とメカニカルなデザイン性を評価され、グッドデザイン賞や工業デザイン界のオスカーといわれるドイツのiFデザイン賞も受賞した。
その社員はその後、プロの工業デザイナーから指導を得て、本格的にデザインを勉強した。今では、3Dプリンタを使い社内で細部にこだわったモックアップの製作も行っているという。
プロモーション、マーケティング、デザイン。これは決して大手企業だけのものではなく、現在では中小企業でも使えるツールや環境が整っている。積極的に活用しない手はない。
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