SCORではサプライチェーンの性能を定量的に測るMetrics(メトリクス)を定義している。このMetricsは5つの観点から設定され、これらのバランスを戦略的に考えられるフレームワークになっている。5つの観点(Attribute)とサプライチェーン全体の性能を測るレベル1メトリクスを表1に示す。
レベル1メトリクスはプロセスと同様に階層構造で定義されている。例えば、信頼性のレベル1メトリクスであるPerfect Order Fulfillment(完全オーダー達成率)は次の通り、レベル2メトリクスに展開される。
このように、上位のメトリクスを把握して、その性能値の内容をドリルダウンする下位の診断メトリクスを参照できるようになっている。また、メトリクスはグローバル標準の定義なので、これを使ったベンチマーキングも可能である。
欧米系のグローバル企業では、サプライチェーンの基本として当たり前のようにSCORが使われている。SCMのプロジェクトでSCORを使うことはもちろん、業務の基盤として採用している企業も数多く存在する。
例えば、SCM部門の教育にSCORを取り入れている企業や、サプライチェーンのパフォーマンスを把握するために全世界的にSCORレベル1メトリクスを導入している企業など、業務の基盤作りにSCORが活躍している。
一方で、多くの日本企業にとってはいまだになじみが薄いのも事実である。ただ、グローバルにビジネスを展開している日系企業では、日本国内ではSCORを使っていないが、海外の現地法人がSCORを採用している、というケースが結構ある。サプライチェーンをグローバルで運営していくにあたって、今後日本国内でもSCORが当たり前のツールとして根付いていくことが予想される。
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