ET2015のアクセルブースでは組み込みグラフィックスLSI「AG903」のデモが行われている。協業各社による開発環境も紹介されており、実用に向けての準備が整っていることをうかがわせる。
ET2015のアクセルブースは、組み込みグラフィックスLSI「AG9」シリーズの新製品「AG903」のデモが中心。動作デモの他にも協業各社による開発環境も行われており、実用に向けての準備が整っていることをうかがわせる。
「AG903(AX51903)」は映像入力アナログ4系統/デジタル1系統をサポートし、ARM Cortex-A5(400MHz)のCPUコアや512MビットのVRAMを搭載するグラフィックスLSI。描画エンジンはOpenVG 1.1に対応し、コーデックはJPEG(圧縮/伸長)とH.264(伸長)をサポートする。映像の最大解像度は1920×1200(1系統時)だ。
デモでは複数の映像入出力をサポートしたAG903の特長を生かした、画像検査/モニタリング/操作パネルの各機能を1チップでまかなうFA用多機能機をイメージしたデモが行われている。内蔵するビデオキャプチャーおよび画像処理のハードウェアエンジンにより、複数の画像入出力処理を行いながらも滑らかな動作を実現している。
開発環境としてはIARシステムズの「IAR Embedded Workbench for ARM」と、京都マイクロコンピュータのコンパイラ「exeGCC(ARM)」デバッガ「PARTNER-jet2」がそれぞれAG903の動作検証済み環境として紹介されているほか、アイ・エル・シーの組み込みGUI環境「GENWARE4」とダイナコムウェアのDigiTypeフォントの組み合わせも展示されており、チップの持つグラフィックス機能を活用した開発が可能であることも紹介されている。
FA用多機能機の他にも、アミューズメント施設の遊技台上部にある幕板と呼ばれる場所に複数台の液晶を設置して、島あるいは店舗全体を演出するデモが行われている。1280×720ピクセルの映像を再生するAG903搭載ボードと液晶パネルが3枚並べられており、それぞれのボード間はRS485を用いての同期が行われている。
ブースで紹介されている2つのデモ環境はOSとしていずれもイー・フォースのμITRON「μC3」を採用しているが、ARMコアを採用することから組み込みLinuxの利用も難しくはないと想定される。同社では顧客やアプリケーションからの要望次第でLinux対応を検討するとしている。
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