ET2015にて日本AMDは新型SoC「Merlin Falcon」を中心としたデモを行っている。4K映像を再生しながらCPU負荷が数%にとどまるなど、その能力を分かりやすく紹介しており、加えてAMD APU上で動く「Red Hat Linux Enterprise 7.1+Qt」も見逃せない。
組み込み技術の総合展示会「Embedded Technology 2015(ET2015)」にて、日本AMDは発表されたばかりの新型SoC「Merlin Falcon」を中心としたデモを行っている。強力な画像処理性能を持つだけではなく、SoC化することによって得られるメリットを十分に体験できる内容だ。
「Merlin falcon」(コードネーム)と名付けられた新型SoCは、AMD Rシリーズの後継にあたるが、1チップに統合するだけではなく、これまで別チップだったサウスブリッジまでを1パッケージに統合したSoC(System on Chip)製品だ。CPUコアに“Excavator”、GPUに“Radeon HD 10000”を採用しており、アプリケーションの負荷分散を行うHSA(Heterogeneous System Architecture)の内部バスも高速化されている。
ブースではMerlin falconを搭載したテストボードが複数用意されており、4K映像の再生やリアルタイムでの顔認証、さらにはCRI・ミドルウェアの協力により、Merlin falcon上でCRI・ミドルウェアのムービーミドルウェア「CRI Sofdec7」を利用しての動画再生とUnityによる3Dレンダリングを同時に行うデモが行われている。
動きの滑らかさという点では、Red Hatの「Red Hat Embedded Program」を利用したAMD Rシリーズ内蔵のGPUを活用したデモも興味深い。これはRed Hat Linux Enterprise 7.1上にて、クロスプラットフォーム開発可能なGUIフレームワーク「Qt」(バージョンは5.6)を利用してWebGLを実行するもので、表示ディスプレイにはタッチパネルディスプレイが利用されている。GPUの能力もあってか、軽く触れるだけでもサクサクヌルヌルとよく動く。
その他にも、クアッドコア 2.4Ghz駆動のAMD GシリーズAPU「GX-424CC」を搭載したNAS「TVS-463」上でバーチャルマシンを起動しての仮想OS利用(ゲストOSはWindows 7 64bit)や、イーソルが独自で拡張した組み込みシステム向けRTOSである「eT-Kernel」をAMD Rシリーズ上で動作させるデモ、Mentor Embedded Linuxを利用しての輪郭検出デモなども紹介されている。いずれもMerlin Falconならびに同社APUの能力をその目で確認できる内容となっている。
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