ここからは記者を招いて行われたプレスミーティングの中でのインダストリー4.0に関するドロッセル氏への一問一答の内容をお伝えしよう。
―― インダストリー4.0への注目が広がる中、ドイツや日本の間で、投資や新たな動きについてどう考えているか。
ドロッセル氏 インダストリー4.0は大きなビジョンでありアイデアである。多くの産業領域への影響をもたらすものではあるが、長いロードマップにそって進められているもので、日独の産業にすぐに大きな影響をもたらすというものではない。ただ、このロードマップに沿ったプロジェクトは数多く進められており、それらの個々の動きが現在ではインダストリー4.0の産業への影響ということがいえる。
―― 日本では「カイゼン」など人を基軸とした生産現場の強みがあるが、インダストリー4.0になるとどう変わると考えるか。
ドロッセル氏 「カイゼン」はドイツの自動車メーカーなどでも採用しており、よく知られている。インダストリー4.0によりIoT(Internet of Things)を活用したプロセスモニタリングなどが進んでもカイゼンの仕組みそのものは変わらない。ただ、その情報を取得し、カイゼンのための基盤とする情報のメッシュが細かくなるのだと考えている。また、インダストリー4.0では、1つの工程だけでなくさまざまな工程から取得した情報を組み合わせて一元的に判断できるようになる。そうすることで、生産ライン全体を変えたり、工場のプロセス全体をカイゼンしたりすることができるようになる。
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