キヤノンの御手洗冨士夫会長兼社長兼CEOは「Canon EXPO 2015 Tokyo」において基調講演を行い、IoTに全力で取り組む方針を示した。
キヤノンの御手洗冨士夫会長兼社長兼CEOは2015年11月5日、5年に1度のプライベートイベント「Canon EXPO 2015 Tokyo」において基調講演を行い、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)による変化を「第4次産業革命」と位置付け、同社のイメージング技術を武器に、全力で取り組む方針を示した。
御手洗氏は経済環境の変化はグローバリゼーションとイノベーションによって起こっているとし、イノベーションの動きで最も特徴的なものを「IoTによる第4次産業革命」と説明する。
「モノとモノ、モノと人がデータをやりとりする世界が訪れている。これはSFではなく製造現場でもマスカスタマイゼーションに向けた動きなどが既に始まりつつある現実となっている。新しいビジネスが生まれる中、さまざまな覇権争いなども生まれているが、キヤノンはIoT時代において絶好のポジションにいる。IoTにおいてはイメージングが従来以上に重要になるからだ」と御手洗氏は述べる。
IoT時代においてさまざまな情報を獲得するのに視覚は最も情報量が多く、さまざまな判断をもたらす情報源となる。キヤノンは、そのキーデバイスである、レンズとセンサー、プロセッサーを全て自社で抱えているからだ。
一方、モノづくり力強化も推進し、生産の国内回帰を進める方針を示す。国内における生産性改善の切り札と据えるのが、デジタルカメラの完全自動生産だ。同社では、2000年代後半からはセル生産をさらに強化するために、人間の能力を拡張しセル生産の補助を機械で行う「マンマシンセル」の導入を進めてきたが、2018年をめどに生産の完全自動化を目指す。九州地域のカメラ生産拠点である、大分、長崎、宮崎で適用を進める計画で、コンパクトデジカメ、デジタル一眼レフ、交換レンズなどを生産するという(関連記事)。
「この取り組みのカギを握るのもIoTだ。既にドイツではインダストリー4.0として、IoTを活用した生産高度化の取り組みが進んでいる。キヤノンでもIoTをモノづくりに広く応用し、生産性を高めていく」と御手洗氏は強調する。
さらに2020年には提携やM&Aにより「新しい姿に生まれ変わる」(御手洗氏)とし、IoT時代での価値創造を進めていくとしていた。
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