ウェアラブル機器、遠隔モニタリングセンサーに代表されるモノのインターネット(IoT)は、医療/健康/介護福祉分野でも導入が進んでいる。今回は、米国におけるIoT全般の相互運用性/標準化に向けた取り組みを紹介する。
2015年9月18日、米国国立標準研究所(NIST)のサイバーフィジカルシステム・パブリックワーキンググループ(CPS-PWG)は、「サイバーフィジカルシステムのフレームワーク」草案を公開し、パブリックコメントの募集を開始した(関連情報)。
米国の場合、セキュリティ/プライバシーを含むIoTの技術規格の標準化活動に関して、NISTが主導的な役割を果たしている。NISTの草案によると、サイバーフィジカルシステム(CPS)は、物理的要素と計算処理的要素により構築された相互作用ネットワークなどのスマートシステムであり、IoTやインダストリアルインターネットなどが含まれる。テクノロジーの観点からは、電子カルテシステムのような情報技術(IT:Information Technology)と、ウェアラブル機器のような制御技術(OT:Operations Technology)の融合がCPSの特徴になっている。
CPS-PWGは、CPSの基本的概念および独自の方向性に関する理解/共有を深め、意見交換やセクターの枠を超えた研究の統合によって進歩を促進し、新機能によるCPSの開発を支援することを目的として設置された公開作業グループであり、「語彙とレファレンスアーキテクチャ」、「ユースケース」、「サイバーセキュリティとプライバシー」、「タイミングと同期」、「データ相互運用性」の各分科会が活動している。CPS-PWGには、General Electric(GE)、AT&T、Cisco Systems、Intel、IBMによって設立された「Industrial Internet Consortium(IIC)」も参画している。
今回NISTが公表したガイドライン草案は、CPSベースの製品/サービスを設計/開発/製造する企業や開発者向けに、IoTを含むCPSの相互運用性・標準化に必要な、包括的フレームワークを提供することを目的としており、以下のような章立てで構成されている。
NISTのCPSフレームワークは、ウェアラブル健康機器、インテリジェントビル管理機器、無人運転車/ドローンなど、分野/領域の枠を超えたCPS/IoT共通の枠組として開発された。図1は、NISTのCPSフレームワーク策定におけるプロセス/手順を示しており、以下の4つのステップが柱となっている。
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