設計者の意図が伝わりにくい、設計内容と完成形状が異なっているといった2Dデータの課題を解決するためには、設計データの3D化が必要だ。では3D化はどの程度必要なのだろうか。また、3D化に適した事例とは?
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製品形状や構造が複雑化しており、海外や取引先から3Dデータでの提供を求められるケースも増えている現在では、設計データの3D化が課題となっています。また、2Dデータでは「設計者の意図が伝わりにくい」「組み立ててみると実は干渉していた」「設計内容と完成形状が異なっている」といった問題により手戻りが発生することも多くあります。
新規設計よりも流用設計の比率が高い場合、保管している図面データを利用して修正するだけで出図が可能なため、わざわざ3D化する必要がないと思われるかもしれません。
確かに、完全な3D化を行おうとすると多大な時間と工数がかかります。このため「既存の2D資産を生かしながら必要な部分だけ3D化を行う」という部分運用を行う方が最終的にはスムーズな3D立ち上げにつながります。
2Dでは表現できず図面に手書きで個別に指示を加えているケースでは、設計意図が伝わりにくくなります。その場合、3Dデータの方が表現できるため利便性が高まります。
大きな変更を行うと干渉面で問題が出たり、設計変更の繰り返しによって強度に問題が出るケースがあります。その場合、2Dデータではこれらの判別ができません。3Dデータであれば干渉チェックや解析などの機能を利用することで事前に確認ができます。
射出成形品において金型の抜き勾配は形状に大きく影響を与えるため、設計時には十分に考慮する必要があります。しかし2Dデータでは検証ができず、製造コストが上がってしまう場合も多くあります。3Dデータにすれば、解析機能によって事前に検証できます。
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