高効率化というキーワードから、軽量化の取り組みにも着目したい。乗用車向けのリヤアクスルの部品にガラス繊維強化樹脂(GFRP)を採用したコンセプトコンポーネントを、Volkswagen(フォルクスワーゲン)「ゴルフ」に装着したテスト車に試乗した。バネ下の軽量化がはかれていることに加えて、「サスペンションを設計する際の自由度も高い」(ZF)という。実際に試乗すると、ノーマルのマルチリンク式リヤサスペンションと比べても、明らかに分かるほど乗り心地が向上している。また、コーナリング時のリヤの追従性が高まっている点も特筆すべきだ。
このリヤアクスルには、GFRP製のホイールガイド式トランスバーススプリングを組み込んでいる。サスペンションアームの機能を併せ持つことから、部品点数を減らしつつ、軽量化も図れる。自動車メーカーの好みにあわせて、ストローク量やロール剛性にあわせた設計も可能だ。さらに、トレーリングリンク、トーリンク、ホイールガイドダンパーを追加することで、マクファーソン式リヤアクスルにも応用できる。リヤアクスルの部品点数が劇的に減り、小型・軽量化に加えて、組み立て時の作業効率向上にもつながる。マルチリンク式サスペンションと比較すると、約6kg、13%の軽量化となる。
これまでもZFは、ダンパーやコントロールアーム、ハイブリッドブレーキペダルの軽量化版を提案してきた。ダンパーでは、剛性が必要な部分のみを強化し、それ以外の厚みを抑えることで25%の軽量化を図った。リベットやねじによる接合が不要なSMiCA(ボールジョイント一体型シートメタル製コントロールアーム)では、通常のシートメタル製と比べて23%軽量化するとともに、小型化によってシャシー設計の自由度が増す。ブレーキペダルでは、熱可塑性樹脂を使った繊維強化複合材を採用することで約50%もの軽量化を図っている。
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