その上位に位置するWEAVEが提供するDeveloper APIは、AppleのHomeKit Frameworkと見事にぶつかる部分だろう。少なくとも基調講演で説明された範囲に限って言えば、提供される機能はHomeKit Frameworkとかなり近い。実際はどんなデバイスカテゴリに対してどんなプロファイルが提供されるか、という点が重要であり、このあたりはドキュメントがリリースされるまでは判断が難しい。
ただ対象としているのがホームオートメーションである以上、例えばスマート電球に対して提供される機能がそれほど大きく離れるとも考えにくい。クラウド対応についても、AppleはHomeKitのiCloud対応を既に明らかにしている(というか、iCloudがHomeKitの前提の1つとなっている)からここは大きな違いとはいえない。
ただし、“Cross-Platform”(クロスプラットフォーム)はHomeKitに対するWEAVEの大きな利点の1つになるかもしれない。このWEAVEのCross-Platformがどこまでを指すかも明確ではないが、普通に考えればmbedのDevice Serverにあたるものを独自にインプリメントする事も可能になるし、WindowsやMacOS、LinuxなどからWEAVE経由でのBrillo Deviceのアクセスも可能かもしれない。
このあたりはWEAVEの認証を取得するフレームワークがどのプラットフォーム対応かにも依存するが、例えばGoogle自身はAndroid向けにしかWEAVEのFrameworkをリリースしなかったとしても、サードパーティーがその他のOS向けのFrameworkを(認証を取得の上で)提供するという可能性はある。ただこれには多分に政治的な要素が絡むので、技術的に可能だからといって出るとは限らないのだが。
ただし、Brillo/WEAVEは、HomeKitと比較して1年のビハインドがあるわけで、既に周辺デバイスメーカーがHomeKit対応製品をリリースしており、さらにMFi認証プログラムが立ち上がって運用されている状況を考えると、よほどのアドバンテージが無い限りこれに追いつくは難しい。
冒頭にも書いたが、かならずしもGoogleはHomeKitの対抗規格としてBrillo/WEAVEを立ち上げた訳ではないと思うが、ほぼ同じところを目指しており、かつHomeKitの側がGoogleに配慮する可能性は非常に低い事を考えると、Googleの側もがっぷり4つに組む事を覚悟の上でのリリースにも思える。であれば、このCross-PlatformがGoogle側の最大の武器になるかもしれない。
もう既に季節は2015年の第3四半期であり、9月末あたりまでにはBrilloのDeveloper Releaseが出てくるであろうし、WEAVEのスペックも年内には公開されるだろう。これらが出てくれば、Googleがどの程度、真剣にこのマーケットを狙ってくるか(別の言い方をすれば、どこまで派手にAppleと戦うのか)が見えてきそうだ。
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