レッドハットは、製造業向けの取り組みや産業オートメーションにおけるエッジ相互運用性の標準を策定している「Margo」の活動内容について説明した。
レッドハットは2025年3月4日、東京都内で会見を開き、製造業向けの取り組みや産業オートメーションにおけるエッジ相互運用性の標準を策定している「Margo」の活動内容について説明した。
ITシステム向けのLinuxディストリビューション「RHEL(Red Hat Enterprise Linux)」で知られるレッドハットだが、近年は自動車や工場/プラントなどの産業機器でもクラウドネイティブを実現できるようにRHELやKubernetesプラットフォーム「Red Hat OpenShift(以下、OpenShift)」の提案を進めている。
レッドハット米国本社 インテリジェントエッジグローバルビジネス開発担当 シニアディレクターのケリー・スウィット(Kelly Switt)氏は「企業のリーダーは、より複雑になって進化する新たな技術を取り入れるための変化に伴う困難に苦労している。当社は、イノベーションの力をあらゆる場所で解放できるように、オープンプラットフォームを通して顧客やパートナーとのコラボレーションを積み重ねてきた」と語る。
レッドハットのコラボレーションに基づくイノベーション推進の歴史は、約30年前のIT分野におけるUNIXからLinuxへの移行から始まった。ここ10数年では移動体通信ネットワークのエコシステムの仮想化でも貢献している。そして、足元で注力しているのが産業オートメーション分野におけるクラウドネイティブへの移行である。「レッドハットはこれまで約30年の経験を基に、産業オートメーション分野における自動化、自己構築、自己最適化、自己修復を実現するための触媒、イネーブラーになりたいと考えている」(スウィット氏)という。
このためにレッドハットは、クラウド、産業機器、自動車といった異なる対象に共通的に適用できる統合された標準プラットフォームとしてRHELやOpenShiftを用いた「Open Edge Industrial Platform」として展開して行く方針である。この標準プラットフォームによって、ハードウェアとソフトウェアの分離と低遅延な制御が可能になるとする。なお、ハードウェアとソフトウェアの分離によって自動車向け機能安全規格であるISO 26262や制御システムセキュリティ規格のIEC 62443などの認証取得が容易になることもあり、レッドハットも第三者認証機関との協力体制を構築している。
産業オートメーションの場合、Open Edge Industrial Platformによってハードウェアとエッジ側のソフトウェア、クラウド上で運用するアプリケーションを一体に運用できるようになっても、全ての課題が解決するわけではない。ハードウェアである産業機器やセンサーはメーカーごとに仕様が異なり、クラウド上で一括して管理できる状況にないからだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.