まずHomeKitとの対比で言えば、AppleのHomeKit+MFi認証に相当するものがWEAVEであり、Brilloに相当する部分はHomeKitには事実上存在しない。正確に言えば、Brilloにあたる部分は様々な機器メーカーが「HomeKit対応」という形にて作りこむ部分であり、そこを差別化の要因の1つとしているのに対し、Googleはここまで標準化した。このあたりはHomeKitというよりは、むしろARMのmbed OSと対比させたほうが分かりやすいだろう
(関連記事:ARM「mbed OS」とは何か?その詳細と動向)。
どちらも、IoT向けに必要となるOSの機能をまとめて提供するとともに、接続性やセキュリティ、デバイス管理といったコンポーネントまで提供する事で、製品提供までの時間を短縮できるという狙いがあると思われる。
大きな違いは、mbed OSがARMのMCUをターゲットとしているのに対し、Brilloはもう少し上のレベルのプロセッサをターゲットとしていると思われる事だ。いまだにBrilloのハードウェア要件などは公開されていないが、恐らくは今Androidが移植されている、MMU付きの32bitプロセッサというあたりになるのではないかと思う。
実はこの程度に要求レベルを上げても、ターゲットとなるデバイスは大量にある。ARMで言えばCortex-A7あたりは十分ターゲットになりうるし、MIPSについてもMIPS M4KとかM14K、あるいは最近のmicroAptivやM51xxシリーズ以上ということになる。x86も恐らくターゲットで、IntelのQuark X1000とか最近だとEdisonなども動作するだろう。
昨今はMCUとMPUの境目が曖昧で、特にCortex-M7の様な高性能MCUコアが登場した事で、性能レベルでは既に判断できなくなってきている。むしろMMUを持っているか、とかRAMがどの程度使えるかといった機能面で区別するのが普通であるが、BrilloはローエンドのMPU「以上」がターゲットになるのではないか、と筆者は想像する。
実際、Androidからの派生という事を考えれば、MCUサポートはまず考えられず、その一方で低価格デバイス向けを考えると性能面ではかなり低いものが対象レンジに入ってくる。微妙なのは最近半導体メーカー各社がリリースしている、Cortex-A8/A9ベースのMCUターゲット向け製品で、このあたり命令セットをどこまでカバーするかとの兼ね合いである。さらに言えば、世の中にはまだARM11などのSoCもあるのだが、こうしたARM v6あるいはARM v7の初期版をサポートするかどうかは微妙な感じである。
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