3Dスキャナの活用分野を見てみると、主に「工業用途(検査・評価など)」「医療用途(美容用途含む)」「土木・建築用途(ダム建設・橋りょうなど)」などで導入が進んでいる。
医療用途に関しては、対象が主に人間(生体)になるので「1m以下の範囲を測定できる短距離型の3Dスキャナの導入が伸びている」(日尾氏)という。
一方、以前から3Dスキャナが活用されていた工業用途では、短距離型の3Dスキャナだけでなく、50m以下、800m以下の範囲を測定できる長距離型の3Dスキャナも導入されている。そして、対象が建築物全体や施設全体のような広範におよぶ土木・建築用途では、50m以下、800m以下、2km以下の範囲を測定できる長距離型の3Dスキャナが活用されているという。
3Dスキャナの出荷台数については、「1000万円以上する3Dスキャナが多かった2010年度の出荷台数(実績)は860台。2014年度以降になると、300万円台の機種が登場するなど低価格化が進み、2015年度の出荷台数(見込み)は2100台になるといわれている」(日尾氏)。
また、「市場規模を分野別に見てみると、工業用途が最も伸び率が高い。そして、これまであまり使われてこなかった医療用途についても、ここ最近で大きな伸びを見せ、存在感を増している。2015年度の3Dスキャナの市場規模は100億円以上といわれている」と日尾氏。
3Dスキャン市場の中で主力となるのが短距離型の3Dスキャナだ。主要分野である工業用途では設備投資が堅調に推移しており、リプレイスや増設ニーズも増えてきているという。また低価格化が進んだことで、中小企業での導入も増加している。「3D精度についても、データ・デザインで取り扱っているArtec Group製のハンディ型3Dスキャナ『Artec Eva』で0.1mm、『Artec Spider』で0.05mmとハイエンドの機種と比べても精度面で遜色はない」(日尾氏)。
そして、さらに市場規模を拡大しているのが医療用途だ。整形・形成外科、歯科、美容などの用途で積極的に活用が進んでいる。その他、3Dプリンタのトレンドと連動して伸びてきた3Dボディスキャンなどのコンシューマ向けサービス、エンターテインメント分野、アパレル分野などでの事例も増えてきているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.