この連載は簡単なポータブルアンプの製作を通じて、抵抗やコンデンサの読み方などを学び、電子回路に親しんでもらうのが目的です。今回はいよいよはんだゴテを手にしての制作に入ります。
電子工作を通じて、「ハードウェアへの苦手意識」をなくそうという目的を掲げたこの連載、いよいよ理論から実践、PCやスマートフォンで音楽を大音量にして楽しめる「ポータブルアンプ」の制作をスタートします。はんだゴテを使ったことがない方は、練習と思って取り組んでみてください。
実際のポータブルアンプ制作に当たって道具としては、
が、最低限必要になります。これらの道具は電子工作の「いろはのい」です。基本中の基本なので、必ずそろえてください。なお、使いやすさと価格はなぜか比例するので、(ある程度の)お金をかけるのは惜しまないようにしてください。
ニッパーやラジオペンチは1000〜1500円くらいのもの、はんだゴテも同価格帯のものがよいですが、私が使っているのはもうちょっとだけ高価なHOZANの「H-600」(3000円前後)という速熱タイプのものです。ちょっと高くなりますが、コテ先の温度を変えられるので、素早くはんだ付けしたいときには重宝します。
なお、はんだゴテには「ワット数」があり、それぞれ用途が決まっています。電子工作に使うのであれば、30〜40Wの製品を選ぶようにしてください。電子工作用としては、はんだゴテの他、コテ先スタンド、はんだ、はんだ吸引線に加えて、トランジスタなどの熱に弱い部品を取り付ける際に使うヒートクリップなどがセットになっている商品もあります(太陽電機産業「goot 電子工作用はんだこてセット X-2000E」など)。このようなセットを選ぶのもよいかもしれません。
では実際に部品を取り付けていきましょう。今回取り付ける部品は以下の通りになります。
なお今回セレクトした部品ですが、電解コンデンサは「ニチコン FineGoldシリーズ」という、オーディオ用のものを使うことにする他、セラミックコンデンサではなくフィルムコンデンサにしました。
抵抗もオーディオ用の金属被膜抵抗「1/4W タクマン電子 REY25」を使います。この規模のポータブルアンプでこうしたオーディオ製品的な部品選択が、どの程度有効かは分かりませんが、気分的にも(?)高級感を求めたいのでオーディオ用を使ってみましょう。
ちなみに普通の電解コンデンサが20円程度で購入できるのに対して、オーディオ用は1個50円から、抵抗も1本5円のものが30円になったりと数十円ですが高価になります。しかし部品点数が少ないですから、出費はそれほどの額にならないので使ってみましょう。もちろん普通の部品でも鳴らないということはないので、自由に選択してください。
部品の概算は以下の通りです。部品代は880円(2015年7月上旬、筆者購入時)となりました。
部品名 | 部品数 | 単価(円) | 小計(円) | 購入店 |
---|---|---|---|---|
トランジスタ2SD1590 | 2 | 50 | 100 | 秋月電子通商 |
電解コンデンサ16V 470μF | 3 | 50 | 150 | 千石電商 |
電解コンデンサ16V 47μF | 2 | 50 | 100 | 千石電商 |
フィルムコンデンサ0.01μF | 2 | 40 | 80 | 千石電商 |
抵抗1/4W 3.9KΩ | 2 | 30 | 60 | 千石電商 |
抵抗1/4W 150Ω | 2 | 30 | 60 | 千石電商 |
抵抗1/4W 51Ω | 2 | 30 | 60 | 千石電商 |
ステレオミニジャック | 2 | 50 | 100 | 秋月電子通商 |
電池ボックス | 1 | 50 | 50 | 秋月電子通商 |
汎用基板 サンハヤトICB-88 | 1 | 120 | 120 | 千石電商 |
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