これまで、HEREのサービスが日本市場で販売される車両に使用されることはほぼなかった。海外売上高比率が高い日本の自動車メーカーや車載情報機器メーカーにとって、海外市場の事業展開にHEREは必要だが、カーナビゲーションの実用化で世界に先行していた日本市場でHEREのサービスは不要だったのだ。
しかし自動運転技術の開発スピートが加速することによって、その状況も変化しつつある。HEREは、米国のシリコンバレーとミシガン州、ドイツ、フランスの一部地域で、自動運転技術の実証実験向けにHD Mapを提供している。そして日本でも、2015年後半を目標に作成している東名高速東京付近のHD Mapを提供する予定なのだ。
カレシー氏は「自動運転の世界になれば地図データにも高精度化という変革が訪れる。そして、グローバルで事業を展開する自動車メーカーにとって、日本と海外で異なるタイプの高精度地図データを使うことは非効率でしかない。ただし、HEREとしては、海外のスタンダードを日本市場に押し付けるのではなく、日本の地図データ企業と協調して、グローバル展開に向けて整合性がとれるような地図データの高精度化の作業に協力していきたい。日本では、2020年を目標に自動運転技術の開発が進められているが、統括拠点を日本に移したHEREとしても参画したい」と述べている。
カレシー氏は、ホワイトボードを使って自動運転技術に求められる高精度地図データをはじめとする情報の構成について説明してくれた。変化の少ない静的(Static)な情報である地図データ上に、道路状況や、さまざまな車両の運転パターンといった動的(Dynamic)な情報を積み上げたものが「HD Live Map」と「Location Cloud」によって提供される(クリックで拡大)
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