これらの野心的な目標を支える技術開発戦略は、国内で好調な軽自動車と、欧州の車両サイズで言うA〜Cセグメントの小型車+SUVが中心となる。2014年4月に発表した環境技術への取り組みでも小型車を中核にする方針を打ち出していたが、それをさらに明確にした(関連記事:スズキのガソリンエンジン開発目標は平均熱効率で40%、2020年初頭に達成へ)。
これは、今後の四輪車の市場動向として、同社が得意とする小型車市場と、小型車の需要が強いアジア市場の両方が成長すると見込んでいるからだ。
パワートレインのうちエンジンについては、排気量0.66〜1.4l(リットル)に絞り込むことで、効率的に基本技術と新技術の開発を進める。これらの小排気量エンジンに、高圧縮比化、直噴ターボ、リーンバーン、クールドEGR、低フリクション化などの技術を適用し、2020年初頭までの平均熱効率40%の達成に挑戦する。トランスミッションは、国内展開も始めた自動マニュアル変速機(AMT)「Auto Gear Shift(AGS:オートギヤシフト)」をさらに進化させる。そして、「ワゴンR」や「ハスラー」といった軽自動車で搭載を広げているマイクロハイブリッドシステム「S-エネチャージ」の海外展開も視野に入れる。
車両プラットフォームは、軽自動車、Aセグメント、Bセグメントの3つに集約し、高剛性化と軽量化を図る。30%の剛性向上により、10〜15%の軽量化を目指す。実際に、高張力鋼板をボディの46%に採用さいた新型「アルト」は、ほぼこの高剛性プラットフォームと言ってもよく、従来モデルから約60kgの軽量化に成功している。
スズキの軽量化戦略は高張力鋼板をはじめ「鉄を使い切る」という考え方が中心だった。SUZUKI NEXT 100では、鉄だけではない「マルチマテリアル」に挑戦する。つまり、アルミニウムや樹脂の積極採用に踏み切るとみられる。
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