オムロン ヘルスケアは、自治医科大学との共同研究で、夜間血圧の平均値は一見正常であっても、睡眠時無呼吸が発生した際に、高い人では200mmHg以上に上昇する危険なタイプの高血圧を確認した。
オムロン ヘルスケアは2015年6月10日、睡眠時無呼吸に伴って血圧が200mmHg以上に上昇する、危険なタイプの高血圧を確認したと発表した。同成果は、自治医科大学循環器内科学部門の苅尾七臣教授との共同研究によるものとなる。
夜間睡眠中も血圧が高い夜間高血圧は、他の血圧に比べて病態や予後との関係が深いため、近年、夜間血圧管理の重要性が世界的に高まっている。特に、夜間高血圧の原因の1つである睡眠時無呼吸症候群では、睡眠時無呼吸に伴って発生する急激な血圧上昇が危険因子になると考えられているという。
今回両者では、睡眠中のSp02(動脈血酸素飽和度)の低下で睡眠時無呼吸を検知して血圧測定を開始し、睡眠時無呼吸に伴う急激な血圧上昇を検出する研究用試作機を共同で開発。2012年から実証研究を行い、全国25施設の医療機関の協力を得て、900症例を超えるデータを集積した。
その結果、睡眠時無呼吸の重症度や夜間血圧の平均値は同じでも、睡眠時無呼吸に伴う血圧上昇の程度には個人差があることが判明。さらに、夜間血圧の平均値は一見正常であっても、睡眠時無呼吸が発生した際に約28%の患者が160mmHg以上に、高い人では200mmHg以上に血圧が上昇することが分かった。一方、睡眠時無呼吸に伴う血圧上昇は、就寝前の降圧治療により、効果的に抑えられることを実証した。
同成果から、睡眠時無呼吸が疑われる患者の夜間血圧管理には、夜間血圧の平均値のみを参考にするのではなく、睡眠時無呼吸発生時の血圧上昇を測定し、それを抑える治療・血圧管理が重要であることが明らかにされた。今後は症例取得をさらに進め、睡眠時無呼吸に伴う血圧上昇と心血管病の発生リスクとの関連を研究する予定。また、試作機を改良し、2015年度中の販売開始を目指して機器開発を進めるとしている。
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