オリンパスは、「多関節軟性手術支援ロボティックシステム」を開発し、「消化器内視鏡治療支援システム」と「電動多自由度腹腔鏡」の2つの試作機を発表した。今後、福島県内にある同社の医療機器製造拠点を活用し、製品化を目指すという。
オリンパスは2015年6月3日、「多関節軟性手術支援ロボティックシステム」を開発し、「消化器内視鏡治療支援システム」と「電動多自由度腹腔鏡」の2つの試作機(非臨床用)を発表した。
がんなどの治療では、口・肛門から消化器内視鏡を挿入して病変部を切り取る治療や、腹部の穴から腹腔鏡と専用器具を挿入して行う手術がある。これらの低浸襲治療は、患者の負担が少ないため、近年採用が進んでいるという。
同社が試作した消化器内視鏡治療支援システムは、先端に複数の関節を持つ2本の多関節処置具を消化器内視鏡に組み合わせたもの。コンソールのモニターで内視鏡画像を見ながら、入力装置を操作することで、複数の関節を自在に操作できる。例えば、内視鏡の先端にある処置具を内視鏡ごと動かして病変部を切り取る内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)では、消化器内視鏡で捉えた画像をモニターで見ながら多関節処置具を自在に操作できるため、ESDの処置操作が容易になるという。
また、電動多自由度腹腔鏡は、先端部分に設けた湾曲構造を電動制御することで、医師が見たい部位を視野内に捉え続ける機能(ロックオン機能)を搭載。これにより、従来は腹腔鏡操作をする医師が、処置操作をする医師が見たい部位を予測して映像を捉える必要があったが、見たい場所を頻繁に調整する必要がなく、手術効率が向上できる。
今回の試作機開発は福島県の国際的先端医療機器開発実証事業費補助金を受けて行われたもので、同社では今後、福島県内にある同社の医療機器製造拠点を活用し、製品化を目指すとしている。
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