水素に関して、なかでも私が一番ワクワクしちゃったのが、「廃棄物から水素を取り出す研究が既に実用化されつつある」ということ。
去る2015年3月31日、福岡県の中部水処理センターで、下水バイオガスから水素を製造/供給する水素ステーションの完成が発表されました(関連記事:CO2フリーの水素を下水から作る、福岡市で燃料電池車へ供給開始)。下水処理の過程で発生する汚泥に含まれるメタンガスと水蒸気を反応させ、水素を作るというものです。
これまで焼却処分されていた汚泥から発生する1日当たり2400m3の下水バイオガスを使って、水素を3300m3作り出すとか! これで、燃料電池車を約65台満充填にできます!!
これまでバイオ燃料など、化石燃料から脱却すべくさまざまな代替燃料が登場しては消えて行きました。例えばトウモロコシ由来のバイオ燃料であれば、食料や飼料としての用途と競合してしまうというデメリットを抱えていました。
だけど汚泥は誰もイラナイものです。リアルな意味でゴミでした。処分にオカネも労力も必要とされるものだったのですから、ナイスアイデア!
しかもメタンガス……。これは汚泥を暖めたときに発生するものですが、このメタンガスもその辺に溢れているものです。
メタンガスと聞いて私が最初に思い浮かべたもの。それは稲作が当たり前なエリアに生まれ育った私が常に目にしていた、米を収穫したあとのわらの山でした。
米を収穫した後、わらを発酵させて堆肥に変えているのですが、このときにびっくりするくらいのメタンガスが出ます。メタンガスは温室効果ガスの1つですから、これが稲作を行っている全世界レベルで行われていると考えたら、と不安に思っていました。美味しく食べること、それが温暖化を促進していることになっているなんて、と。
また、人間を含めた動物の糞からもメタンガスが発生します。これこそ世界中の生きとし生けるものが排出する量たるや、想像を絶するもの。これらのメタンガスから効果的に水素を取り出せたら……ただ単に焼却処分で土に埋めて終わり、なんて消費するだけの世界から、エネルギー革命が起こりそうです。
さて、そこでバック・トゥ・ザ・フューチャーです。
ドクがしたように、直接ガソリンタンクに生ゴミを詰めることはまだ叶わないけれど、イラナイものが燃料になる、そんな世界の入り口に、私たちはもう立っているんですね。
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