コグネックスは好調を続けるバーコードリーダ製品に加え、産業用ロボットの導入拡大に合わせマシンビジョンの成長に取り組む方針だ。画像処理技術の導入を加速させることでFA市場における自動化領域の拡大を促進する。
コグネックスは2015年5月11日、事業戦略説明会を開催し、好調なバーコードリーダ製品の拡大を進めるとともに、産業用ロボットの成長に合わせ、FA向けマシンビジョンの導入拡大を進めていく方針を示した。
製造現場の自動化における画像処理の重要性は高まっており、マシンビジョンやバーコードリーダなどの導入が加速している他、キヤノンやリコーなど参入企業が拡大している(関連記事:画像処理システム市場、3Dロボットビジョン・FAカメラが今後数年で急成長の見通し)。
これらの流れからコグネックスも成長を続けている。グローバルでの売上高は、2013年が3億2428万米ドルだったのに対し、2014年は前年比37.3%増となる4億8600万米ドルに拡大。2015年度第1四半期(2015年1〜3月)の業績も前年同期比25%増の成長を遂げているという。
日本市場に対しては「グローバルほどの伸びではないが、20%弱くらいの成長率で順調に成長を続けている」とコグネックス(日本法人) 代表取締役社長の井上誠氏は述べている。
順調な成長を遂げるコグネックスだが、日本市場のここ数年の課題がFA領域の攻略だ。コグネックスの日本での取り組みは、半導体製造領域で先行。半導体製造ラインにおける位置決めや検査などの工程で導入が進み、高いシェアを獲得していた。ただ、これらの領域に集中し過ぎたため、FA領域への取り組みがやや遅れた。
この状況を打破するために取り組んでいるのが、三菱電機との協業関係を基軸に産業用ロボット用途などでの提案強化と、バーコードリーダなどパッケージ製品の提案だ。
三菱電機は幅広いFA製品を抱えているが画像領域については製品を持っていない。コグネックスは画像処理に特化しているので、補完関係が成立し、両社の製品を組み合わせたソリューションを展開している(関連記事:三菱電機 名古屋製作所、FA機器快進撃の舞台裏)。
一方、バーコードリーダについては、トレーサビリティ確保などにより、ダイレクトパーツマーキングを含めたバーコード管理が広がる中、高度な画像認識技術を生かした読み取り技術が評価を受けているという。日本市場においても「30%成長となっている」(井上氏)としており、順調な成長を続けている。
これらのFA領域拡大の勝算について、井上氏は「産業用ロボットの拡大が追い風となっている。製造現場の自動化領域拡大と現場における作業効率向上のため、産業用ロボットと画像処理を組み合わせて自律化を目指す動きが強まっている。今後もこの“ロボットの目”の領域は拡大が見込まれている。これらの動きを捉えていけるようにしたい」と述べている。さらに今後については、数多くの新製品を予定しており、「自動車部品やエレクトロニクス部品の領域で導入拡大を狙いたい」(井上氏)と語っている。
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