最後に、3Dプリンタを使いこなすために必要な“ちょっとしたテクニック”として、フィラメント交換のコツ、プラットフォームに造形物を定着させるための秘密道具、そして造形物を取り出す際のポイントを紹介します。この機会にぜひ覚えておいてください。
造形途中でフィラメントの色を変えたくなったらどうしたらいいんですか?
じゃあ、フィラメント交換についても教えてあげよう。
はい! せっかくなので僕の大好きな青色に変えたいですね〜。えーと、フィラメントをガイドから引き抜いて、新しいものに変えればOKと……。
ちょっと待った! 実はこのフィラメント交換がノズルを詰まらせる原因になりやすいんだよ。だから慎重に!!
えー。じゃあ、どうしたらいいんですか?
それはだね……。
フィラメント交換は手で引き抜くのが一般的です。しかし、造形の途中で色を変更しようとしてフィラメントを引き抜くと、ごくまれに、きれいに抜け切れずに途中で材料が引っ掛かり、それが冷えて固まりノズルを詰まらせてしまうことがあります。手で引き抜く際は、ゆっくりと切れないように注意しましょう。
もしも、厳密な色の切り替えが必要なければ、使用途中のフィラメントをニッパーでカットして、短くなったフィラメントを全部出し切ってから別の色に交換するのがベストです。
N店長、いろいろ調べていたら「ノズルから出てくるフィラメントがプラットフォームにうまく定着しない」という問題もたまに起きるそうですが?
うん。ダヴィンチシリーズだと、定着のために「スティックのり」が付属しているけど、僕はこれをオススメするよ! じゃじゃーん!!
ヘ、ヘアスプレーですか?
そう。中でも「花王 ケープ」のスーパーハードが一押しかな。冗談みたいだけど、スティックのりよりも定着性が良く、プラットフォームから造形物をはがしやすいという特長があるんだよ。
へ〜、奥が深いですね。というか、最初に気が付いた人がすごい!!
髪の毛にスプレーするように、軽くプラットフォームに吹き付けてあげればOKさ。
ウソのようなホントの豆知識です。ヘアスプレーだとプラットフォームの掃除も楽で、使い勝手が非常に良いです。もし、「造形物が上手く定着しない」という方は、だまされたと思ってヘアスプレーを試してみてはいかがでしょう? でも、まずはプラットフォームを常に清潔に保っていることが大前提ですよ。
N店長のアドバイス通り、プラットフォームの調整もやったし、ケープもさっと吹き付けたし、そろそろきれいにできているかな〜。
おっ! ちょうど今、造形が完了したところのようだね。
よ〜し。では、早速取り出しちゃいますか!!
ダメ、ダメッ! ちょっと待って、Y君!!
何でダメなんですか、N店長〜(涙)。
まだ冷え切っていないからだよ! この状態で無理やりプラットフォームから造形物をはがそうとしても、なかなかはがれないんだ。ガンガンと力任せにたたいてはずそうものなら、せっかく水平設定したプラットフォームもゆがんでしまうよ!
ガーン……。
焦らない、焦らない。冷えてからの方が簡単に取れるからさ。
は〜い(しょんぼり)。
3Dプリントが終わると、どうしてもすぐに手に取りたくなりますよね。しかし、その気持ちをぐっとこらえて、しっかりと冷えるのを待ちましょう。スクレーパーでガンガンと力任せにはずそうとすると、プラットフォームの水平がずれてしまいますし、プラットフォーム自体を傷つけかねません。造形完了まで待ったのですから、冷やす時間なんて大したことありませんよ。
N店長、本当にありがとうございました。おかげで3D CADでモデリングして、3Dプリンタで実際に出力する一連の流れがつかめましたよ!
それは良かった。でもまだたくさん覚えることはあるよ〜。今度の週末も3D CADの無料勉強会があるから来てみるかい?
はい!
3Dモデリングから3Dプリントまでを、1つの空間で気軽に見学・体験できるスペースは、まだあまり多くはありません。そういった中でも、あッ 3Dプリンター屋だッ!! は中野ブロードウェイというオープンで開放的な空間に存在しており、誰でも気軽に立ち寄れる雰囲気があります。今後、店頭に設置されているパーソナル3Dプリンタはどんどん増えていく予定です。Y君のように3Dプリンタに興味がある人はぜひ一度遊びにきてください。きっと、新しい発見や出会いがあると思いますよ!! ではお店でお会いしましょう。 (連載完)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.