「第6回 国際通信自動車技術展」で、林信行氏、夏野剛氏、久夛良木健氏の3氏によるトークセッション「オープンイノベーションがもたらす地殻変動を読み解く!」が開催された。インターネットの普及により、変わりつつある自動車業界。その現状と未来についてさまざまな意見が飛び出した同セッションの内容をお届けする。
「第6回 国際通信自動車技術展」(2015年3月11〜13日、東京ビッグサイト)の開催初日となる2015年3月11日に、慶應義塾大学大学院 政策メディア研究科 特別招聘教授の夏野剛氏、サイバーアイ・エンタテイメント 代表取締役 CEOを務める久夛良木健氏、ジャーナリストの林信行氏によるトークセッションが開催された。
「オープンイノベーションがもたらす地殻変動を読み解く!」と題した同セッションでは、林氏がモデレータとなり、NTTドコモの「iモード」で知られる夏野氏とゲーム機「プレイステーション」の生みの親である久夛良木氏が、自動車業界の現状と未来について激論を交わした。その内容をお届けする。
林氏 お二人はどんなクルマに乗ってらっしゃるんでしょうか?
久夛良木氏 これまで欧州車だとBMWの「318」、「525」、「724」に乗ってきたんですが、最近プラグインハイブリッド車の「i8」を買いました。近所の買いものにはトヨタの「プリウス」を使ってます。
夏野氏 僕は2月の頭にTesla Motors(テスラ)の電気自動車「モデルS」が納車されました。すごく面白い。クルマに全く興味なかったんだけど、試乗してみたらびっくりだった。タッチパネルで全ての操作が完結するっていうのはすごいですね。日本の自動車メーカーの方と話すと、「やっぱりハードキーじゃないと」っていう方が多いですけど、それって私のいた携帯電話業界でiPhoneが出るまでは「全面液晶なんて無理」っていわれてたのとすごく似たような感覚だなと。SIMカードが入ってるからネットに接続できるし、しかもその通信料金はテスラ持ちなんですよ。
久夛良木氏 夏野さんはモデルSの「iPad」みたいなタッチパネル方式のインパネが好きなんだろうけど、僕は音もなく加速するところが好き。本当は自分も予約していたんだけど、モーターショーでi8を見たらそっちを買ってしまった。でもテスラからは、テレマティクスについてはすごく新しいものを作ろうという意思を感じるし、日本の自動車メーカーとは違うなと思ったね。
林氏 i8のユーザーエクスペリエンス(UX)の部分はどうでしたか?
久夛良木氏 i8がすごいと思ったのが、今まで私が乗ってたBMWと全く同じ感覚で全て操作できるところ。それはさすがにすごいなと。17年くらい前の「E38」と比較しても全く違和感が無い。でも、SIMカードが入っているから、オーディオシステムの部分は自分のiTunesと同期できたりとか、インターネットにつながることによる進化が反映されてて面白い。日本の自動車メーカーができないことをさらっとやっている感じがしましたね。BMWは自分たちのロードマップに従ってクルマを進化させてるんだなと。
林氏 モデルSにしろi8にしろ、スマートフォンなど、インターネットに親しみのあるユーザーに対応できているということなんでしょうか。
夏野氏 日本の自動車メーカーって、クルマの中で全てを完結させようっていう意識がすごくありますよね。僕はクルマが大好きな人間ではないので、一週間の中でクルマに乗っている時間の合計は2時間くらい。多くの人はクルマの中にいるよりその他の生活時間の方が長いですよね。それなのに自動車メーカー側から「クルマの中にあなたの人生が」とかいわれると、車上生活者の話なのかな、クルマの中にこもらないと自分の時間が持てないユーザーばかり想定しているのかなって思ってしまう。
欧州の自動車メーカーは、オーディオの部分を他のメーカーに明け渡したように見えます。モデルSのナビは「Google Map」なんですよ。ナビ機能自体は後からアップデートで追加するようになっているんですけどね。
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