べらんめぇ! へったクソな落書きを久々に見た、落胆の「ウ〜〜ム」だぜぃ! これでもオメェは院卒かぁ? あん? 少なくとも、遠近法ぐらいは取り入れろてぇもんよ!
僕はですね、甚さんみたいに老眼鏡はいらないんですよ! このメガネは近眼用オンリーですから!(キリッ)
それを言うなら、遠近両用メガネ。
コラ。オメェら、ちゃかすんじゃねぇよ。
遠近法まで表現するのは面倒ですよー。僕、美術はちょっと苦手だったし。
「遠近法」は小学校の図工や、中学校の美術で学ぶ単語です。遠近法は、例えば「同じものでも、遠いものは小さく、近いものは大きく」などデッサンや美術作品で距離感や立体感を表現するためのテクニック(技法)の1つですね。
そんじゃ、もういっちょ聞くがよぉ、オメェさんのそんな汚ねぇポンチ絵を描いてどうすんのよ?
ポンチ絵で、プロジェクトメンバーと円滑なコミュニケーションが図れます。名付けて! 「ポンチ絵コミュニケーション」どぇ〜〜すっ!
誰でも思いつきそうなネーミングですね……。
オメェよぉ、それ、誰から洗脳されたんだ、あん? まさか、オメェんとこの、「検図できねぇ、設計審査できねぇ」、あの英語課長じゃねぇだろなぁ?
……そうです。
「ポンチ絵コミュニケーション」はよぉ、昭和の技術屋の単語だぜぃ。決して、悪くはねぇんだけどよぉ。ところで、エリカちゃんだったらどうする?
「概略構想図」を描いていますよ? 3次元CADでね。製図の専門学校で教えてもらいました。
【問題7】の解答、つまり「設計者にとっての仕込み」とは、エリカちゃんが言った、3次元CADで描く「概略構想図」がその1つです。
「概略構想図」? 何それっ! 僕そんなの知らないよっ!!
オレサマの会社でも「概略構想図」を使っているんだぜぃ! そんじゃ、エリカちゃん! 早速、良君の下手な「ポンチ絵」を、3次元CADを使って描き直してくんねぇかい?
甚さん、すぐにやりますよ。概略構想は、角や隅のRは省略して……、さらに寸法を気にしない「ノットスケール」で描きます。これで、どうですか? (図3)
すんばらしい! ところで良君! オメェが描いたポンチ絵(図1、2)だけどよぉ、ちょいと断面を見シてくれや?
断面ですか? ちょっと待ってくださいね。30分くらいで描きますから。
べらんめぇ! 30分も待てるかぁっ! すぐに出せ! 設計審査で断面は定番の質問事項だろがぁ、あん!
めちゃくちゃ言うなぁー。
私は3次元CADのデータがあるので、5秒で作れますよ。これでいいですか?(図4) ついでに「展開図(≒組立図)」もどうぞ。
当事務所のクライアント企業では、ポンチ絵はとっくの昔に卒業しました。3次元CADを使ってノットスケールで「絵」を描きます。これを「概略構想図」と呼びます。そして、そのまま設計審査(デザインレビュー)にて提示します。
一方、設計審査での定番質問は「断面」「組立性」「保全性」「分解(リサイクル性)」などですが、これらの質問にあなたがポンチ絵で対応できるのなら、このまま「ポンチ絵」を継続してください。
少なくとも、手ごわい競合企業が存在するならば、手描きの「ポンチ絵」から、3次元CADによる「概略構想図」へと移行しましょう。圧倒的な開発スピードに対処できるでしょう。当事務所のクライアント企業では、ポンチ絵や「ポンチ絵コミュニケーション」は、「カビクサい昭和の手法」と呼んでいます。
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