シャープは、液晶パネル事業(以下、液晶事業)の方針について、市場変動が激しく売価ダウンのリスクが高いスマートフォンやタブレット端末などの民生機器向けとなるBtoBtoC市場への依存度を軽減し、非民生機器向けのBtoBtoB市場の比率を高めていく方針を示した。
シャープは2015年2月13日、大阪市阿倍野区の本社で記者会見を開き、液晶パネル事業(以下、液晶事業)の方針について説明した。市場変動が激しく売価ダウンのリスクが高いスマートフォンやタブレット端末などの民生機器向けとなるBtoBtoC市場への依存度を軽減し、非民生機器向けのBtoBtoB市場の比率を高めていく方針を示した。
シャープ代表取締役 専務執行役員 デバイスビジネスグループ担当の方志教和氏は、「BtoBtoB市場は規模は小さいが、カスタム性が強く、技術力、サポート力、提案力が必要で参入障壁が高い。独自技術を武器に、製品ポートフォリオにおけるBtoBtoB市場の比率を、現在の約15%から2021年度には約40%まで高めることを目指す」と語る。
2014年度第3四半期(10〜12月期)の液晶事業の業績は、売上高が前年同期比14.2%減の2380億円、営業利益が同55.9%減の114億円と減収減益になった。第4四半期(2015年1〜3月期)は業績が回復するものの、2014年度通期の営業利益予想も400億円に下方修正している。しかし「2013年度と比較すると、営業利益からエンジニアリング収入を除いたベース値では、約1.5倍の収益改善になっている」と補足した。
業績悪化の要因として、タブレット端末やノートPCなどに用いられる中型パネルの高精細化が遅れていることと、中国市場の変調による影響を挙げた。中国のスマートフォン市場は、競争激化によってパネル価格が下落し流通在庫が増加。WQHD(画素数2560×1440)に代表される高精細市場の立ち上がりが遅れ、モデルミックスも大きく変わったが、市場の急激な変化に迅速な対応ができなかったという。
こうした現状に対する直近の取り組みとなるのが、タブレット端末やノートPC、PC用モニターといった中型パネルの新規顧客の開拓と拡販である。
そして、中国市場における競争優位の確立を図るため、華南地区の攻略に向けた営業体制の強化を進める。これは、シャープ販売会社と現地法人がある華南地区に、スマートフォンメーカーの本社やデザインハウスが多く存在しているからだ。
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