災害現場での大出血を止める「世界初」の携帯型マイクロ波手術機器MEDIX関西

滋賀医科大学は、「第5回 関西 医療機器開発・製造展(MEDIX関西2015)」において、「世界初」(同大学)とする携帯型マイクロ波手術機器を展示した。

» 2015年02月06日 14時00分 公開
[朴尚洙,MONOist]

 滋賀医科大学は、「第5回 関西 医療機器開発・製造展(MEDIX関西2015)」(2015年2月4〜6日、インテックス大阪)において、開発中の携帯型マイクロ波手術機器を展示した。大阪市立工業研究所、オリエントマイクロウェーブ、サンエー精工、日機装、コダマ、トーカロとの産学官連携の成果となる。

 この携帯型マイクロ波手術機器は、災害現場などで大出血している負傷者に対する止血を早急に行えるようにするため開発された。従来、負傷者をその場で止血する手法としては、包帯などを使って圧迫するのが一般的だった。しかし、災害現場のように、血管に達するような傷から大出血している場合には圧迫法では止血できない。

 携帯型マイクロ波手術機器は、鉗子型の先端部にマイクロ波を流して血管そのものを封止することにより強力な止血を行う携帯型の医療機器だ。ガンタイプの鉗子部と、肩から下げる電源・制御部から構成されている。出力が約40Wのマイクロ波を10秒間流すことで、縫合糸を用いた結紮(けっさつ)と同レベルの止血が可能になるという。電源・制御部が満充電の状態から、約2時間分のマイクロ波施術を行える。

「携帯型マイクロ波手術機器」はガンタイプの鉗子部と、肩から下げる電源・制御部から構成されている鉗子部の先端にマイクロ波を流して血管そのものを封止することで大出血を止める 「携帯型マイクロ波手術機器」はガンタイプの鉗子部と、肩から下げる電源・制御部から構成されている(左)。鉗子部の先端にマイクロ波を流して血管そのものを封止することで大出血を止める(クリックで拡大)

 マイクロ波手術機器は、手術室内などで使う据え置き型の装置として利用されているが、「携帯型はこれが世界初になる」(滋賀医科大学)という。

 2015年から事業化プロセスに入るが、認可を経て上梓されるのは2017〜2018年ごろになる見込みだ。

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