ここまで2015年の中国自動車市場のネガティブな見通しを紹介した。しかし、マン氏は2015年における中国の自動車メーカーの利益率は向上する見通しであると語った。その要因となるのが、中国市場においては新型車の流通が多く、これが自動車メーカーの利益率の向上を後押ししていることだ。中国と海外の自動車メーカーはどちらも新型車の投入を加速させており、マン氏は「2015年中に中国市場には約100車種の新型車が投入される見通しである」と説明する。
マン氏によれば中国市場で購入される新型車の内、約半数がSUVになるという。また、その中でも中国市場では小型車のニーズが強いため、小型SUVが大きな割合を占めている。またマン氏は、SUVを販売する注目の中国自動車メーカーとして、長城汽車(Great Wall Motor)を紹介した。同社は小型SUVをメインに販売していたが、2015年には中型の新型SUVを投入する予定だという。「この新型の中型SUVは海外の自動車メーカーと競合するセグメント。つまり、ホンダやトヨタ、韓国の現代自動車と競合することを意味する」(マン氏)。なお、2014年の中国の自動車市場における海外自動車メーカーの販売台数の割合は69%だという。
マン氏が中国の地場自動車メーカーの利益率は成長すると予測する2つ目の要因は、原材料価格の低下だ。2013年から2014年にかけて金属価格が約10%低下しており、さらに原油安の影響で自動車用プラスチック部品のコストも下がっている。
マン氏は「新型車の投入効果に加え、こうした原材料費のコストが下がる2つの要因がもたらす効果により、販売台数が低下しても2015年における中国の自動車メーカーの利益率は伸びるのではないかと予測する。具体的には2014年の利益率は7.6%だったが、2015年は8.1%程度になるのではないかと考えている」と見通しを語った。
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