さて、以上の話をもとに、もう一度Photo00で紹介したリリーススケジュールを見直してみると、いろいろ面白い。
恐らくAlpha 1として2014年12月にパートナー企業へリリースされたものは、Sensinodeの提供していたNano Service Platformに若干の+αをした程度であろう、と思われる。Network StackもまだNanoStackをベースとしたもので、MQTTとかLWM2Mなどのインプリメントは済んでいない公算が高い。
Alpha 2あたりではTLS/DLTSとHTTP周りの実装、それとMQTT/LWM2Mのドライバが統合されるとともに、Photo06に出てきた「Connectivity」のいくつかが部分的に追加されると思われる。2015年5月に予定されているAlpha 3では(品質はともかく)機能的には全プロトコルと、全てのConnectivityのドライバがそろい、その品質を上げたものが同年8月のβとなり、10月にはv3.0としてリリースされる、という流れだろうか。
ただ、2015年12月にはv3.1が予定されていることからも分かる通り、10月にPhoto06で示す全てのコンポーネントが出荷品質になっているとはARM自身も信じていないのだろう。このあたりのフォローアップをv3.1で行う、という腹積もりではないかと思う。
最後にmbed OSのライセンスモデルに関して。
既にこちらで触れられている話でもあるが、mbed OSそのものはApache License 2.0を利用したオープンライセンスが前提となる。ただし例外もあり、それは接続性に関する部分である。他製品との接続性に関してはドライバをメーカーが公開していない場合もあり、その場合、そこはオープンソースの対象にはならないという制約がつくとの事だった。
セキュリティに関しても、一部の暗号化モジュールはソースが公開されておらず、こうしたものもやはり対象外になるという話であった。ちなみにオープンソース扱いになるのは、2015年10月15日に公開されるmbed OS v3.0からであり、現在はクローズドソースとしてメンバー企業にのみ公開されている状態である。
ということで、mbed OSの詳細というか、その素性について簡単にご説明した。自分で試せるようになるにはまだ少々待たなくてはならない。ただ一般論として、いくら開発の元となるものがあるからといって、新規にこの規模のソフトウェアを1年で実用状態に持ってゆくのはかなりの労力が必要であり、実際、開発の現場ではかなり苦労して作業を行っているのではないかと思われる。そんなわけで2015年10月を楽しみに待ちたいと思う。
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