エボラ出血熱の早期発見のため、高精度な携帯型検査キットを開発医療技術ニュース

STM、Clonit、スパランツァーニ研究所は、リアルタイム・ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法を採用した、高精度で小型、かつ短時間で検査可能な携帯型検査キットを開発した。エボラ・ウイルスを75分以内に検出できる。

» 2015年01月05日 08時00分 公開
[MONOist]

 STマイクロエレクトロニクス(STM)は2014年12月15日、Clonit、伊スパランツァーニ国立感染症研究所と共同で、エボラ・ウイルスなどのウイルスを早期発見するための高精度な携帯型検査キットを開発したと発表した。血液中のエボラ・ウイルスの早期発見により、感染拡大を最小限にとどめることを目指す。

 今回試作開発された携帯型検査キットは、リアルタイム・ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法を採用。エボラ・ウイルスを75分以内に検出できる。わずか数マイクロリットルの血液サンプルから高い精度でエボラ・ウイルスを検出可能で、その検出精度は最大100万倍に希釈した血液サンプルで確認された。

 検査キットの主要構成は、採取された血液サンプルからウイルスのリボ核酸(RNA)を取り出す抽出器と、抽出されたRNAをDNAに逆転写して増幅する切手サイズのシリコン製超小型リアクター、定量的なリアルタイムPCR(ウイルス量)を実行するための特殊な試薬、携帯型光学リーダーなど。

 検査精度が高く、早期のウイルス検出が可能なため、致死率の高いエボラ出血熱の感染拡大防止に貢献するほか、小型かつ短時間で検査ができるため、緊急事態や現地での診断に適しているという。また、スパランツァーニ研究所による試験では、適切な国際規格に準拠していることが確認された。

 今後は、検体取り扱い時の感染危険性を最小限に抑えることや、コスト低減など、大規模な普及に向けた最適化に取り組む予定。すでに現在、大量のサンプルを同時に検査できる完全自動・自己充足型の統合検査システムの評価を行っており、これによって検査時間の最適化、携帯性の向上、自動化・統合によるコスト低減が可能になるとしている。

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