「生産革命」で狙う“ヒト”オートメーション化の世界スマートファクトリー(2/3 ページ)

» 2014年12月26日 09時00分 公開
[三島一孝MONOist]

人と機械が融和する世界

 オムロンは製造装置やロボットの制御機器および制御技術などで世界中で多くの実績を持つ。制御技術とは、製造装置やロボットをどのように動かすかということをコントロールする技術であり、機械をいかに最適に動かすかということをリードしてきた企業だといえる。そのオムロンでは、産業分野における人と機械の関係性について新たなビジョンを描いているという。

 「過去は人の作業を機械が代替するというもので機械同士が同調していればよかった。現在は人と機械が協調して働く形になってきている。これらの関係性は将来的には、人と機械が融和し機械が人に合わせたり、人の技術を再現したりする世界が訪れる」(山田氏)。

photo オムロンが描く産業分野における人と機械の関係性の変化(クリックで拡大)※出典:オムロン
photo HAL作業支援用(腰タイプ)の装着イメージ

 一方のサイバーダインは、山海氏が筑波大学大学院システム情報工学研究科で研究していたサイバニクス技術※)の成果をより広く世の中の普及させるために2004年6月に設立された。人が筋肉を動かそうとするときに発生する微弱な生体電位信号をセンサーで読み取り、その信号を基にパワーユニットを制御して動かすサイボーグ型ロボット「ロボットスーツHAL」で高い評価を受けている。

※)サイバニクス技術:サイバネティクス、メカトロニクス、情報技術を中核として、IT、ロボット工学、脳・神経学、生理学、行動科学、心理学、法学、倫理学、感性学を融合複合した新しい研究領域

 サイバーダインの技術を産業分野で活用することで可能になることは「技術者のノウハウの抽出」だ。例えば、サイバニクス技術を駆使することで、生体電位信号により、熟練技能者の各体の部位の動きをITにおけるデータとして記録。そのデータをHALやロボットに活用することで、それらの技術的なノウハウを伝授したりロボットに転写したりできるという。

 山海氏は「ロボットのイメージで見られることが多いが、根幹の技術はサイバニクスによる人・機械・情報系の融合複合技術だ。人が筋肉を動かす時の電流を読み取るので、自然な形で人の動きを支援できる一方で、機械の動きを読み取っているため、意図と動きの両方を読み取ることができる。これがノウハウをデータ化できる要因だ」と語る。サイバーダインでは、これらの人のノウハウをロボットに転写する取り組みについて、福島県郡山市に新設した生産拠点で実証実験を進めるとしており「4〜5年で形にしたい」(山海氏)としている。

photophoto サイバーダインが目指す産業変革・生産革命(左)とロボットへの技術転写のイメージ(クリックで拡大)※出典:サイバーダイン

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.