富士通研究所はウェアラブル機器向けに、省電力かつシステム実装を容易にするミドルウェアを開発したと発表した。本技術の導入により、工数は10分の1、消費電力は3分の1まで低減できるとしてる。
富士通研究所は2014年12月5日、ウェアラブル機器向けに省電力かつシステム実装を容易にするミドルウェアを開発したと発表した。これまでセンサーやアプリケーションごとに実装していた省電力機構をミドルウェア側で吸収、省電力なウェアラブルシステムを少ない工数で開発できる。
バッテリーでの動作が前提となるウェアラブル機器では低消費電力化が実用化に際して大きな問題となるが、各種センサーを常時稼働させていると消費電力の削減は難しい。そこでセンサーを必要に応じて稼働させる、処理を低消費電力なマイコンで行うなどの手法が採用されているが、作り込みには多くの工数が必要とされていた。
新開発されたミドルウェアは、ウェアラブル機器側の「センシング・ノード」と、ウェアラブル機器の親機(スマートフォンやタブレットなど)側に実装される「センシング・ミドルウェア」で構成されている。
センシング・ミドルウェアはアプリケーションからの要求に対して消費電力を抑えるよう自動的にセンサー稼働の処理を振り分け、センシング・ノードはセンシング・ミドルウェアからの情報に従ってセンサーデータの取得、加工、条件判定などを低消費電力にて実行する。ミドルウェアがウェアラブル機器のセンサー状態を把握し、処理を低消費電力動作に最適化するため、システム全体の消費電力を3分の1に低減できるとしている。
同社では同ミドルウェアによりセンサーやアプリケーション個別の制御ノウハウがなくとも製品開発が可能となるため、センシングを活用したソリューション構築に要する開発工数を従来の10分の1まで低減できるとしている。2015年度中の実用化を目指し、各種機器を本ミドルウェアへ対応させるためのインタフェース仕様については、機器メーカーなどへ公開する予定であるとしている。
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