これらのうち特徴となっているのが、この部品検出と3次元CADデータとの照らし合わせの部分だ。部品検出を行うために製作する辞書は、事前に部品の撮影を行うことで、自動でワークのさまざまな姿勢の変化による見え方を学習。そのため画像データを取得すれば高速で検出することが可能となる。データにもよるが、辞書登録後約90分で各種姿勢情報の登録が完了するという。
3次元CADデータの認識にも特徴がある。奥行き方向の位置推定が得意な3次元点群データによるフィッティングとともに、2次元での位置推定が行える画像エッジデータでのフィッティングを同時に行うことで、より高精度な認識が可能となる。「外乱光の影響を受けにくく、マシンビジョンで認識が難しいとされる黒や赤などの色つきの部品などに対しても高精度で認識可能だ」とキヤノン総合R&D本部新規事業技術開発統括部門 新規事業技術企画推進課長の手塚大樹氏は語る。
3次元CADデータのマッチング方式では、事前に部品の登録作業が製造現場にとって大きな負担になっているが、RV1100では、状態が異なる部品の山の撮影を5回行えば、部品の見え方をCGにより自動的に学習する検出方式を採用。部品の登録にプログラミングなども不要となるため、「部品登録に必要な時間は10分の1以下に低減できる。この点をユーザーにも評価されている」前田氏という。
RV1100は同年4月の発売後、夏頃から実導入が進みはじめ「現在は月5〜6台ペースで出荷が進んでいる」と話す。同社からは主要ロボットメーカーやシステムインテグレーターへの提案を中心とする。エンドユーザーとしては「自動車・自動車部品からの引き合いが強い」(前田氏)という。
現在同製品の認識できるワークサイズは、45mm〜1100mmとしているが「電機業界などより小型のワークサイズへの対応を求める声は多い。一方で人間が難しい作業をロボットに大体させるという意味で大型サイズへの対応への声もある。小型化、大型化両面で対応できるワークの領域を広げていく」と手塚氏は話している。
同システムの価格は「1式400万円から」(同社)としているが、これらの取り組みを進めることで、2017年には年間300台ペースの販売に引き上げることを目指す。「既に2014年末までに約30台の出荷となる見込み。現在試験導入を数多く進めているがよいフィードバックを得られているところも多く、大幅に伸ばすことが可能だと考えている」と前田氏は自信を見せている。
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