スケッチで“仮”のカタチを与えたここまでの作業が、製品開発でいう「企画」の段階です。ここからデザインを行っていきます。まずは、デザインのために、既に世の中にあるモノ、そして機能が近い全く別のカタチのモノなどを「Pinterest」を使ってリサーチしていきます。
Tips 4:
デザインリサーチを行うタイミングはとても重要です。「格好いいモノを作ろう」とはじめるのと、「作りたいモノを格好良くしよう」と取り組むのとでは出発点が異なります。PF1000や個人のモノづくりでは「実現したい体験」を決めた後に、そのカタチがどうやったら実装できるのかを検討するためにデザインリサーチを行っています。デザインリサーチには、画像を一覧でクリップできるPinterestが便利です。ボード別に、好きなカタチや「アクティブ」「快適」などの自分のキーワードに対応した画像をクリップしてもよいでしょう。
次に、アイデアにただカタチをくっつけただけのデザインスケッチから、求める体験を実現する形状にブラッシュアップしていきます。具体的には「不要な部分は取り除き、残すところは残す」というプロセスを、「KPT」メソッドを使って行います。
機能の取捨選択によって、カタチはもちろん、道具の形態も変わっていきます。
3Dモデラボ“中の人”やぎさわさんは、身に付けるモノから手に馴染むモノに発想を変えて、逆に持ち歩けないモノでもある「ドアノブ」のカタチを取り入れることにしました。「意識を切り替える体験」を象徴するモノとして、帰宅時や外出時など、手に持った瞬間の感覚をカタチに込めています。
やぎさわさんは123Dでモデリングし、パーソナル3Dプリンタ「ダヴィンチ 1.0」を使って、他のメンバーよりも一足先に試作のステージへと進みました。
参加メンバーそれぞれの作りたいモノが徐々にカタチを成していく中、欲しいモノとは結局、そのモノを通して「欲しい体験」なのではないかと感じました。「世の中に売られているモノも、何かしらの機能や体験を提供する道具である」――。そう考え直すと、日頃何げなく使い、買ったり、捨てたりしているモノについても、何を求めて自分の手にあるのか、本当に必要なのか、と自省するきっかけになります。
モノづくりが広まる中で、「何を作るべきか」という命題をポジティブに世の中に問うていくことが、PF1000の1つのミッションなのかもしれないと感じています。
1つ1つの価値観をカタチにする、“超”パーソナルなファブリケーション。PF1000×3Dモデラボ×Mozilla Japanによる“カタチはまだないプロジェクト”は、リアルタイムで進行中です! 他のメンバーも続々と3Dモデル化させていく予定なので、ご期待ください(次回に続く)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.