本連載の第1回で紹介した通り、Motion Control FBではFBのインタフェースの標準化を行っています。入力/出力の各変数の名称や型、変数の振る舞いの標準化が、Motion Control FBを用いたプログラムの再利用性向上につながります。
連載「PLCの国際標準プログラミング入門」の『PLCopenの「Motion Control FB」とは』では、絶対値位置決めMC_MoveAbsolute を例にして複数のPLCベンダーが提供するFBのインタフェース比較を紹介しています。この記事での説明の通り、技術仕様書への順守率の高いMotion Control FBを選択することも、複数のPLCベンダー間での再利用性を高めることにつながります。
PLCopen Japanでは、Motion Control FBを含むIEC 61131-3 プログラムの開発生産性を、プログラムの再利用性の観点で検証しています。この検証には、PLCopen Japanの構成メンバである国内外のPLCベンダー5社が参加しています。
検証方法は、まずMotion Control FBを用いて2軸を制御するIEC 61131-3準拠のプログラムをST(ストラクチャードテキスト)で記述します。これを各社のプログラミングツールにコピーして、軸が制御できることを検証しています。検証の内容は動画で公開されています(動画1)。
各社とも、元のSTプログラムをまったく修正せず、そのまま使うことはできません。しかし、適宜修正をすることで、元のSTプログラムを各PLCベンダー製品で再利用できることが分かると思います。
今回は、PLCベンダー間でのソフトウェア再利用性について紹介しました。
機械設計におけるソフトウェアが占める開発工数の割合は、年々増大しています。一方で、新興国との厳しい競争の中、機械を早く・安く開発することが重要になっています。本連載を通じて、Motion Control FBによって機械の制御ができること、PLCベンダー間でのソフトウェア再利用性ができること、を理解いただき、読者の皆さまにとってファクトリーオートメーションにおけるソフトウェア開発効率化のヒントになれば幸いです。
最後に、今回の連載で紹介したMotion Control FBを用いた機械制御事例の動画を紹介します。
絶対値位置決めMC_MoveAbsoluteとトルク制御MC_TorqueControl をバッファモードで組み合わせて、連続的に動作させた事例です。
絶対位置決め MC_MoveAbsolute を用いた事例です。MC_MoveAbsoluteの入力変数Jerk(ジャーク、加加速度)を最適化することで、機械の残留振動の抑制を図っています。なお、Jerkの演算方式はオムロン独自技術です。
ギア動作MC_GearInと進角補正MC_Phasingを用いて、双動動作させた事例です。
絶対値直線補間 MC_MoveLinearAbsolute を連続動作させた事例を公開予定です。
※)PLCopenおよび関連するロゴマークはPLCopenが所有する登録商標です。
※)Sysmacは、オムロン製FA機器製品の日本およびその他の国における登録商標です。
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