PLCのモーション制御プログラム開発に貢献する「PLCopen Motion Control FB」。本連載ではこのMotion Control FBについてより深く掘り下げ、解説していく。第3回では多軸協調制御(軸グループによる補間制御)について取り上げる。
PLCopenのMotion Control FB(ファンクションブロック)を使ったモーション制御プログラムの事例を紹介するシリーズの第3回です。PLCopenのMotion Control FBとは、IEC 61131-3準拠のPLC(Programmable Logic Controller)で使用するモーション制御用ファンクションブロックのことです。その狙いは、ハードウェア依存部を排除し動作仕様やインタフェース仕様を標準化することで、「ソフトウェア再利用性の向上」と「ユーザーのトレーニングコストの低減」を図ることにあります。
前回の「同期制御と補正」では、Motion Control FBにおける同期制御の概要と、その補正について解説しましたが、今回は「多軸協調制御」について紹介します。
前回と同様、紹介するプログラム事例は特に断りがない限り、PLCopen Motion Control FBの技術仕様書に記載された範囲内で実現できるものを示します※1)。
※1)技術仕様書の実現内容は各PLCベンダーに依存します。本連載で紹介するプログラム事例、動作事例が各ベンダーのPLCopen認証Motion Control FBで実現できることを保証するものではありません。
複数の軸を軸グループという単位で管理し、各軸が協調して動作して直線補間や円弧補間などの補間制御を行う方式のことを「多軸協調制御」と表現します(図1)。PLCopenの技術仕様書では「Coordinated Motion」と表現しています。
直線補間や円弧補間のプログラミング方法は、PLCベンダーによって大きく異なります。Gコード(G言語)や独自の言語を定義している場合もありますし、専用のプログラミングツールを使用しなければならない場合もあります。
例えば、絶対位置 (X,Y)=(100, 100) に向かって補間速度 500 で直線補間を行うプログラム例を図2に示します。記述方法に違いがあることが分かります。
PLCopenの技術仕様書(Part4, Version1.0)には38個のファンクションブロック(FB)が定義されています。これらFBの使い方は、単軸制御や同期制御と同じため学習工数が削減できる他、多軸協調制御専用のプログラミングツールが不要、といった特長もあります。
各FBの詳細はPLCopenのWebサイト(Part4 - Coordinated Motion)を参照してください。
多軸協調制御は、軸グループ単位で管理を行います。
軸グループが有効のとき、多軸協調制御命令を使用できます。多軸協調制御命令により軸グループの状態が遷移します。また、軸グループに所属する軸で異常が発生した場合、軸グループはエラー発生状態となります。
軸グループの状態遷移を図3に示します。
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