M2Mソリューションは大きく分けて、社内への業務改善への活用と、社外に対する自社製品(サービス)の向上の2つの利用方法が考えられるが「徐々に“外向け”の活用が増えている」(ボーダフォン M2M ジャパンカントリーマネージャー ティモ・ハロネン氏)という。
2014年度版の調査ではM2Mソリューションの導入は「内部向けのみ」が41%で「外部向けのみ」が18%、「内部および外部向け」が41%となっていたが、今後3年間で「内部向けのみ」は25%まで低下。「内部および外部向け」と両面にわたって活用するケースが57%まで上昇すると予測している。
ハロネン氏は「新しい技術を活用するリスクを想定し現状では社内から活用を進めるケースが多い。しかしM2Mが技術として成熟し安心感を持って利用できるようになれば徐々に社外に対し自社ビジネスに貢献する形で提案する動きは増えてくる。長期的には社内向け、社外向けの境界線は徐々になくなる」と話している。
M2Mソリューション導入のきっかけとなる3つの共通テーマとしてハロネン氏は「アセットトラッキング」と「フリート管理」「人のモニタリング」の3つを挙げる。
「製造業の工場や流通、小売など数の多いモノを扱う場合にM2Mによるアセットトラッキングやフリート管理などでは効果が目に見える。また、機械同士を結ぶだけでなく、M2Mにより人のモニタリングを行えることも大きい。ヘルスケアや製造業の従業員管理などで期待できる」(ハロネン氏)。
一方で課題として残されているのがセキュリティ対策だ。調査では実に72%の企業がセキュリティに懸念を抱いていると回答している。
ただこれらの不安要素がある一方で、M2Mで得られる成果が大きいとしている企業も多いという。「M2MプロジェクトでROI(投資利益率)を確保できたか」という質問に対し、「十分に確保できた」とする回答者は前年は36%だったのに対し、今回の調査では46%へと上昇。また成果が「わずか/なしだった」とする回答は6%から2%へと下がっており、ほとんどの企業がなんらかの成果を得ているということになる。
ハロネン氏は、M2Mの活用を成功に導く4つのステップとして以下を挙げる。
「重要なのは経営陣のリーダーシップだ。企業全体でM2Mに合わせた文化を作り出し、ビジネスを構築していくことだ」とハロネン氏は語っている。
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