M2Mの活用企業は22%で前年比80%増、“自社製品の強化”への利用が増加へ製造ITニュース(1/2 ページ)

ボーダフォン グローバル エンタープライズは、世界14カ国、7業界の600人以上の企業経営幹部を対象にM2Mの普及情報を調査し「2014年度版ボーダフォン M2M普及状況調査リポート」をまとめた。同調査は2回目で前年と比べM2Mソリューションの導入企業は約80%増加し、普及率は22%となったという。

» 2014年09月25日 19時30分 公開
[三島一孝MONOist]
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 ボーダフォン グローバル エンタープライズは、世界14カ国、7業界の600人以上の企業経営幹部を対象にM2M(Machine to Machine)ソリューションの普及情報を調査し「2014年度版ボーダフォン M2M普及状況調査リポート」をまとめた。2014年9月25日には同調査の概要を発表し、M2Mソリューションの導入企業は22%となったことなどを明らかにした。

 ボーダフォングループは2009年にM2M事業について再構築し、M2M関連の専門の担当者を集めてグループ「ボーダフォン グローバル M2M」として組織化し、活動を進めている。日本では2010年に「ボーダフォン M2M ジャパン」としてオフィスを設置。日本企業のグローバルレベルでのM2Mの導入・展開をサポートしている。

 「ボーダフォン M2M普及状況調査リポート」は、これらの取り組みの中で同社がグローバルで行っているもので2014年度版が2回目の調査となる。今回の対象はグローバルで600社で、14カ国にわたって行われた。対象としたのは自動車、家電、エネルギー、ヘルスケア、製造、小売、運輸の5業界としている。

photo ボーダフォン M2Mアジアパシフィック事業担当ディレクターのニコラス・エカーブ氏

 M2Mは定義により対象範囲が大きく変わる領域ではあるが同社の定義では「機械対機械の通信を利用するソリューションを対象とするが、機械と通信を別で選択できる場合は対象としない。例えば、スマートフォンや携帯電話端末は機器とキャリアの通信サービスが別で存在するためにM2Mとはしない。逆に電子ブックリーダーなどは、通信が前提となり切り離せないサービスモデルであるため、M2Mと定義している」とボーダフォン M2Mアジアパシフィック事業担当ディレクターのニコラス・エカーブ氏は話す。今回の調査は、この定義に基づいて行われている。

欧米以外の伸長率が顕著

 全体的な普及率を見てみると前年から約80%増加し22%となった。地域別では、米州が前年の13%から17%へと成長した他、欧州が11%から21%へと成長。しかし最も大きな成長率を見せたのは、その他のアフリカ、中東、アジア太平洋地域(AMEAP)だ。AMEAP地域は前年の12%から27%となり、普及が加速している。「中国でスマートシティ化の動きなどがありM2Mの利用は大きく拡大している。またボーダフォンとして最大の案件はニュージーランドのスマートメーターのプロジェクトで同案件では100万台以上のメーター作業を行っている」とエカーブ氏は語っている。同社では2016年までには全地域で導入率は50%を超えると予測しており、さらに普及は加速する見込みだ。

photo M2M導入企業の比率推移(出典:2014年度版ボーダフォン M2M普及状況調査リポート)(クリックで拡大)

家電、自動車などへの利用が主流

 業界別の導入状況を見てみると、「家電」や「自動車」、「エネルギーおよびユーティリティ」分野の普及率が高い。「自動車」は前年の19%から28%に増加した他、「エネルギーおよびユーティリティ」は13%から28%に増加。「家電」は最も高い伸び率を示し、12%から29%に成長した。一方で「運輸および流通」や「小売」については伸び率はそれほどない結果となった。

photo 業界別のM2Mソリューション導入企業の比率推移(出典:2014年度版ボーダフォン M2M普及状況調査リポート)(クリックで拡大)

 「家電」と「エネルギーおよびユーティリティ」では、導入要因の1位が「自動化によるコスト削減」、2位が「イノベーションの機会」となっている。一方で自動車については1位が「業務プロセスおよび生産性の向上」、2位が「競争優位性の獲得」となっている。

photo 業界別M2Mソリューションの導入要因トップ3(出典:2014年度版ボーダフォン M2M普及状況調査リポート)(クリックで拡大)
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