東京・渋谷周辺に拠点を置くの6つのモノづくりスペースが共同し、3Dプリンタやレーザーカッターなどを利用した個人でのモノづくりを支援するコミュニティー「TOKYO FABBERS(トーキョー・ファバーズ)」を結成した。
3Dプリンタやレーザーカッターなど、PCと接続することができるデジタル工作機械とデジタルデータを利用して個人で行うモノづくりは「デジタルファブリケーション」と呼ばれている。近年、そういったデジタル工作機械を利用できるモノづくり施設が次々と登場しており、機材を持たない人でも気軽にデジタルファブリケーションを体験できる環境が整いつつある。東京・渋谷周辺に拠点を置く6つのモノづくり施設は2014年7月28日、東京都内で会見を開き、そういった新たな個人でのモノづくりを支援するコミュニティー「TOKYO FABBERS(トーキョー・ファバーズ)」を共同で結成すると発表した。
TOKYO FABBERSは、東京・渋谷周辺に拠点を置く「FabCafe」、「FabLab Shibuya」、「Maker's Base」、「HappyPrinters」、「coromoza」、「IID 世田谷ものづくり学校」の6つのモノづくり施設が共同で結成。「FABBER」とは「3Dプリンタやレーザーカッターなどのパーソナル・デジタルファブリケーション環境を駆使して新しいものづくりを探究する個人」を意味している。今後TOKYO FABBERSは、そういった個人での新たなモノづくりの支援を目的とし、主に3つの事業を展開する。
1つ目は拠点ネットワークの形成だ。これまで各モノづくり施設は独自に運営を行ってきたが、今後はよりユーザーが利用しやすくなるよう各施設が連携してネットワークを構築し、コンシェルジュサービスを提供していく。2つ目となるのが、各モノづくり施設やFABBERが行っている活動の情報を、今後立ち上げるポータルサイトから国内外に向けて発信し、デジタルファブリケーション文化の発展を目指すことだ。3つ目は、FABBER育成に向けた、モノづくり施設間で連携してのワークショップなどの開催である。なお、今後TOKYO FABBERSに参加するモノづくり施設は増える可能性もあるという。
FabCafeのCOOである川井敏昌氏は会見で「2012年頃からデジタルファブリケーションなど、パーソナライズ化したモノづくりが話題となっている。しかし、まだまだ個人でのモノづくりに対する障壁は大きい部分もある。そういった状況をこのTOKYO FABBERSの活動によって改善し、モノづくりに携わる人を増やしていきたい」と語る。また同氏は「TOKYO FABBERSの取り組みはモノづくり施設同士が競合するということではなく、一緒に個人でのモノづくり文化を盛り上げていくイメージ。個人でモノづくりを行うクリエイタ―をもっと増やしていくために協力する必要があると考えている」と語った。
このTOKYO FABBERSの活動は、東京都と東京都歴史文化財団が主催する「東京文化発信プロジェクト」の1つである「東京アートポイント計画」の一環として実施される。東京アートポイント計画とは、地域・市民が参加するアートプロジェクトを通じ、東京の魅力を創造・発信することを目的とする計画だ。東京都歴史文化財団で東京アートポイント計画のディレクターを務める森司氏はTOKYO FABBERSについて「2020年に開催される東京オリンピック/パラリンピックを見据え、日本に個人のモノづくり文化があるということを東京から世界に向けて発信していきたい」としている。
TOKYO FABBERSは今後の具体的な取り組みとして「TOKYO FABBERS' FORUM(仮)」と題するイベントを2014年8月から毎月1回のペースで開催する。第1回は、同年8月27日にFabCafeとMaker's Baseが共同で実施する予定だ。また、より大規模なイベントとして同年11月1〜2日に「TOKYO FABBERS' FESTIVAL(仮)」の開催も予定している。
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