次に同期制御の補正機能について紹介します。主軸の「フィードバック位置」と「実際の位置」の間にズレが生じる場合があります。また、ワークの伸縮などにより同期制御中に主軸と従軸の間にズレが生じる場合もあります。このような場合は“MC_Phasing”(位相補正)を用います。MC_Phasingでは、主軸位置を仮想的に補正し、これを従軸への入力値として同期制御を行います。
なお、技術仕様書(Part1 and Part2, Version2.0)では、MC_PhasingAbsolute、MC_PhasingRelativeとして定義されています。
MC_GearInを用いてギア動作を行っている際にMC_Phasingを用いて補正を行う事例を図8に示します。この例では、MC_Phasingを起動するタイミングで主軸と従軸のフィードバック位置の誤差を計算し、MC_Phasingの補正量に入力しています。
動作結果を図9に示します。補正前は「主軸のフィードバック位置」(赤線)と「従軸のフィードバック位置」(青線)にはズレがあります。しかし、MC_Phasingの実行後は主軸と従軸が完全に一致しています。
今回は、同期制御と補正についてプログラム事例を紹介しました。Motion Control FBには、同期制御に必要な機能が定義されていることがお分かりいただけたと思います。
なお今回は紹介していませんが、Motion Control FBにはカムテーブルを用いた“MC_CamIn”(カム動作)、2つの軸の値を加減算して指令値を決定できる“MC_CombineAxes”(加減算位置決め)といったFBもあります。これらについては、PLCopenのWebサイトや各PLCベンダーの情報をご確認ください。
次回は、軸グループ制御(補間動作)について紹介します。
※) PLCopenおよび関連するロゴマークはPLCopenが所有する登録商標です。
※) Sysmacは、オムロン製FA機器製品の日本およびその他の国における登録商標です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.