生産工程で3Dデータを活用する際に問題となるのが“データの重さ”だろう。工場でラインを組み、部品の組み立てなどに活用する際、全ての部品データや生産設備のデータを取り込もうとすると、データ量は膨大になる。
iCADのブースでは、工場データを非常に軽く動かせる機械装置向け3D CAD「iCAD」を紹介していた。iCADは、さまざまなデータを取り込むことができ、複雑な曲面がない設計に向く。アセンブリ後に必要な配線、配管機能なども持つ。コンベアを動かしたり、干渉の有無を調べたりもできる。
3Dデータを外出先で見たり、編集したりといったサービスを提供している出展社もあった。オートデスクでは「Autodesk 360」というクラウドサービスを提供している。クラウド上にデータをアップすることにより、遠隔地で「iPad」などを使ってデータを閲覧するといったことが可能だ。
また、同社のツールで興味深かったのが、「ReCap3D」だ。このツールは写真から3Dメッシュや点群データを作成するもので、読み込んだ点群データは「AutoCAD」「Inventor」「NavisWork」といったCADで開き、設計することができる。
工場内で既存の設備などを撮ってCADと組み合わせ、新たに設備を追加設計したり、共有したりするクラウドサービスも利用できるという。また、屋外での使用例も多く、例えば道路や地表の建物をスキャンし、地下の配管の位置を検討するそうだ。他にも、コンビニエンスストアの看板の位置の検討といった例もある。看板はどの位置でどう見えるかが大切なため、人の視線の高さで見え方を確認するのだという。
会場では、“仮想CAD”に関する出展も見られた。SCSKのCADシンクライアントの提案などがその例だ。仮想CADでは、コンピュータ本体が作業者の手元にないため、USBメモリなどを用いたデータ持ち出しができない。そのため、情報漏えい防止の点から注目されている。また、各地に散らばる設計拠点や出張先であっても共通の環境を提供でき、ツールやコンピュータの運用コストを下げられる可能性もあることから、採用が徐々に進みつつある。さらに、各3D CADにおいて3Dプリンタ出力のためのSTLフォーマット対応など、3Dデータ活用の技術や製品が多く見られた。
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