インパクトのないプレゼン資料やポイントのボケた技術論文の多くは、文章を先に書き、すき間を埋めるように後から図表を挿入するケースです。中には、無理やり図表を入れようとして、イラストやマンガもどきを挿入する場合があります。このような場合、一度、第三者の目で評価してみてください。
甚さん、僕のパワポにメリハリがない、その理由が分かりました。あと168時間かけて書き直してみます。
国木田さん、頑張ってね。そして、最優秀の賞金をゲットしてね。私もお手伝いするわ!(優勝賞金で「俺のフレンチ」か「俺のイタリアン」に行けるかも……)
おぉ、そうかい。やっと、やり直す気になったかい。そんじゃ、ついでにもう一つの理由があるぜぃ。それはなぁ……。
ここで、かつての連載である『甚さんの「バンバン板金設計でキャリアアップ」(3)』の図6を見てください。日本と隣国におけるモチベーションの差について、セミナーや設計審査における技術者の座席位置を解説しています。
非常に残念なことに、やる気のない日本人技術者の心情と現状がここで描かれています。後部座席を好むのは、日本人技術者が多く、この席は「やる気のない席」と心理学からも分析されています。
この事実を、非難や失望でとらえるのではなく、むしろ、「そこまで分かっているなら、事前に手段を講じよう!」という気構えが必要です。その「気構え」とは何でしょうか?
ホントだ、ひどいですね。ビッシリ細かい文字で埋まっています。国木田さんが嫌っていた“ブレザー部長”のようだわ。段々、似てしまうんですねぇ〜。
エリカちゃん、それだけは……。
ここから、技術成果発表大会にふさわしい、パワーポイントの「文字」に関して解説しましょう。これが、前述の「気構え」に相当します。
技術成果発表大会の場合、プロジェクターを使用するので会場は薄暗くなり、出席者は眠気をもよおします。そして、スクリーンに投影されたパワーポイントの図表や文字が読めないと、ますます眠気が促進されます。ましてや、やる気のない日本人技術者が好むのは後部座席です。
従って、プレゼンに使用するパワーポイントの文字は「後部座席でも読める文字」が原則となります。これが、「そこまで分かっているなら、事前に手段を講じよう!」という気構えです。
それでは、その文字を今から決定していきましょう。なるべくなら、皆さんの職場や学校で、コンセンサス(第8回を参照)を取りながら決定しましょう。
図2と図3を使って「文字」を決定していきますが、皆さんはぜひ、この2つの図表をダウンロードして、プロジェクターなどでスクリーンに投影しながら理解してください(図表のダウンロードはこちらをクリック)。
それではまず、字体を決定しましょう。筆者は図2の「HG丸ゴシック」をたびたび使うのですが、当事務所のクライアント企業へのアンケートでは、図3の「MSPゴシック」の使用が多勢です。また、各学会での発表も「MSPゴシック」です。従って、使用する字体は、「MSPゴシック」を推奨します。
甚さん、私は角が丸くて女性的な「HG丸ゴシック」がいいわ。何か強い規定でもあるのですか?
いんや〜、規定はねぇときたもんだ。好きにしろ。しかし、もし学会などで規定している場合があったら、二度手間だ。まずそのへんを調査しろ!
次に、再び先ほどの図3で文字の大きさを決定します。前記のクライアント企業で、実際にスクリーンに投影した挙手によるアンケートによると、[B]と[C]に決定しました。[B]の24pt(ポイント)は各パワーポイントのページのサブタイトルに、[C]の20ptは同、ページ内の説明文に使用します。
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