革新的な原価低減を推進していくための考え方や手法について解説する「磐石モノづくりの革新的原価低減手法」ですが、今回は、この取り組みに必要な「標準時間」という考え方について解説します。
IE(Industrial Engineering)を基に、革新的な原価低減を推進していくための考え方や手法について分かりやすく解説する本連載。前回の「革新的原価低減に必要な“ものの見方と考え方”〔中編〕」に引き続き、今回も革新的原価低減手法の基盤となる“ものの見方と考え方”について紹介します。“ものの見方と考え方”の項は、今回で最終回となりますが、後編にふさわしく、原価低減を狙いとした改善を実践していくうえで、最もよりどころとなる「標準時間(ST:Standard Time)」について解説します。
一般的に、仕事量を表現する単位としては、単位時間当たりの個数や長さ、容積などがあります。企業の事業成績としては、売上高が測定単位として捉えられることが多いのですが、この指標は、経営者としては売上高が最もふさわしい測定単位であるからです。しかし、私たちが現場で出来高を測定する単位としては、売上高は作業量との間に一貫した関係が無いために適当ではありません。出来高を正確に、しかも、矛盾なく測定するための単位が必要です。
このような考えに基づけば、作業量の測定単位としては、時間が最も確かな単位であることが分かります。つまり、単位仕事当たりの所要時間が標準時間というわけです。標準時間をごく簡単に表現すれば、「1個の製品を加工するために必要な時間」ということになります。
企業活動において、標準時間の果たす役割には極めて大きいものがあります。ここでは、標準時間がいかに重要であるかということを感じ取って欲しいと願っています。
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