昭和電工の植物工場ユニット「SHIGYOユニット」、山形県の大型植物工場に採用製造マネジメントニュース

独自の高速栽培技術「SHIGYO法」と、野菜栽培に必要な設備をパッケージにした屋内設置型植物工場システムがる山形県天童市の大型植物工場に採用された。

» 2014年07月03日 11時00分 公開
[MONOist]

 昭和電工は2014年6月13日、植物工場ユニット「SHIGYOユニット」が、遠藤商事が運営する山形県天童市の大型植物工場に採用されたと発表した。遠藤商事では、2013年に実施した実証試験で、複数の品種で高品質な野菜が収穫でき、事業性も確認できたことから、同ユニットを導入する植物工場の建設を決定。栽培面積約2000m2、日産約4000株の規模で、2014年9月に完成、10月に操業を開始する予定だ。

 今回採用されたSHIGYOユニットは、同社独自の高速栽培技術「SHIGYO法」と、その効果を最大限に引き出すよう設計されたLED照明やアルミニウム製栽培棚など、野菜栽培に必要な設備をパッケージにしたもの。植物育成に最適な環境の屋内設置型植物工場システムで、栽培マニュアルなどの技術サポートも含まれているという。

photo SHIGYOユニット

 SHIGYO法は、同社と山口大学が共同開発した技術で、品種や生育時期に合わせた波長と強度の光を照射する高速栽培法だ。ユニットに用いられる植物育成用LED照明には、植物の光合成に最適な深紅色(波長660nm)を世界最高効率で発光できる同社独自のLEDと、青色LEDを搭載。蛍光灯に比べて発熱量が少なく、空調等の電気代を抑えられる他、光照射プログラムに合わせてそれぞれの光の強度を簡単に変更できる。

 さらに、軽量アルミフレームにアルマイト加工処理したさびにくいアルミ栽培棚は、均一に光を照射できるよう、LED照明の配置を工夫したもので、反射板を内蔵している。また、天井・壁を断熱パネルで覆い、完全閉鎖型の植物工場で求められる断熱性と菌や害虫の侵入を防ぐ密閉性を備えている。

 これらに加え、オプションで、養液(液体肥料)を自動的に植物に行き渡らせる養液循環装置と、植物育成に最適な温度・湿度・二酸化炭素濃度を維持するための空調設備、栽培エリア内に砂やホコリを持ち込まない除塵用エアシャワーを付けることもできる。

 また、実証実験用に、小型の「SHIGYOユニット」と、コンテナ型で屋外設置に適した「SHIGYOコンテナ」もある。

photo SHIGYOユニットミニ
photo SHIGYOコンテナ

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