さて、筆者が台湾企業によるおもてなしの経験を振り返りながら強く感じること、それは「明るさ」です。台湾企業・経営者を取材するとあちらこちらで、台湾特有の明るさ・ポジティブさを感じるのです。例えば、台湾・新竹のCoreTech Systemという企業の社内を紹介しましょう。
同社は1995年創業、「Moldex 3D」という射出成形CAEシミュレーションソフトウェアを開発・販売し、その顧客はアジア、欧州、米国と世界中に存在します。以下の写真はCoreTech Systemの社内風景を写したものですが、この写真からは社内の明るい雰囲気がダイレクトに伝わってきます。こうしたところにも、台湾の文化と企業経営のつながりを見いだし、分析するための鍵があるのではないでしょうか。
日本人は得てして自分たちの企業経営がスタンダードと考えがちです。比較するとしても、アメリカやヨーロッパの企業との比較がほとんどでしょう。一方、アジアの企業は得てして「アジア」という枠組みで1つにされがちです。しかし、台湾やシンガポール、韓国、中国、タイでは文化は全く異なり、企業経営のあり方も異なります。ここはなかなか気付かれていない点です。
前編で述べたように、筆者は「台湾企業がどのような歴史をたどり、発展してきたのか」ということに強い関心を抱いています。そして、日本と台湾とのつながりを「中小企業」という観点から明らかにしていきたいとも思ってます。そうすることで、日本のモノづくり中小企業に関して、今まで見えなかったものが見えてくるとも思っています。日本の隣にある美麗な島、台湾には尽きることのない興味・関心があるのです。
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