直進性が強いLED光の弱点を克服する「フラッタ」を発明したオプトデザインの紹介。同社では、特許戦略を積極的に進めた。
蛍光灯からLED照明への置き換えが進んでいる。ただ、LED照明の弱点として挙げられているのが、光の直進性が強いこと。各メーカーの努力によってかなり改善されてきたが、広範囲に柔らかな光を届けたいのなら、本来、LED照明は不向きだ。
市販のLED照明は、レンズを工夫するなどして光の広がりを増してきた。一方、それとは全く別のアプローチで「LEDの光を柔らかく広げられないか」と試みている企業がオプトデザインだ。
オプトデザインは「フラッタ」という独自の光学部品を発明。光源となるLEDにフラッタを覆いかぶせ、その内側で光を反射・拡散させることで、直進性の高いLED光を柔らかな広がりのある光へと変換する。
一般の照明器具としても売り出しているが、導入実績が先行しているのは大型看板のバックライトや店舗の外壁などだ。JR仙台駅のコンコースにあるステンドグラスのバックライトでも採用されている。
「フラッタを考案したのは2006年のこと。LED光を広範囲に均一に広げていくため、たくさんのLEDを密集させて並べたり、導光板を使って拡散させたり、レンズによって広げたりとさまざまな手段が採られてきました。フラッタの特徴は、そうした手段以上に光を柔らかく拡散できる上に、装置自体が小型軽量で安価。従来の手法とは一線を画しており、実用性も高いものです」(オプトデザイン 代表取締役 佐藤榮一氏。以下、同)。
LEDとフラッタを組み合わせた基本ユニットのサイズは10×10cmほど。大型看板のバックライトに使用する際など、ユニット数を増やすことでどんな大きなサイズにも対応できる。またフラッタは簡易な構造・加工しやすい素材でできているため、長方形・多角形・円形と基本ユニットの形状を自在に加工することも可能だ。フラッタを使った照明を設計する自由度はかなり高い。
「フラッタを活用できる市場は幅広く、一般照明だけでなく液晶テレビのバックライト、看板、特殊照明、車両照明、検査装置、複写機など、いろいろな可能性を秘めていると思います」(同)。
同社は、「身の丈に合わない」と考えた大量生産・大量販売を早々に諦め、大手企業に特許とフラッタを使った製品設計のノウハウなどを売り込む戦略を採用。日本、韓国、台湾、米国で特許を取得し、欧州・中国にも特許出願中。一部上場メーカーで働いていた、国内外の大手メーカーとのパイプを持つ人材を採用し、各社との商談を進めている。順調に話は進んでおり、近いうちに大規模なフラッタ量産工場を稼働させる予定もあるという。
「『液晶テレビのバックライトで使いたい』ということで台湾や韓国の有名な液晶テレビメーカーと打ち合わせを重ねていますし、照明器具の有名な海外ブランドからも問い合わせをいただいています。国内でLED灯に注目が集まっていますが、韓国でも国を挙げてLED灯に置き換えようと動いています。こうした世界的な流れに乗って、当社のフラッタを広めていきたいと考えています」(同)。
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