ザイリンクスのプログラマブルSoC、2014年から量産車の車載カメラシステムに採用オートモーティブワールド2014

ザイリンクスは、「オートモーティブワールド2014」において、プログラマブルSoC「Zynq-7000」を用いた車載カメラシステムのデモンストレーションを披露。国内外の自動車メーカーが2014年中に量産を始める市販車のフロントカメラシステムにZynq-7000が採用されることも明らかにした。

» 2014年01月22日 15時40分 公開
[朴尚洙,MONOist]
ザイリンクスのデモの様子

 ザイリンクスは、自動車技術の展示会「オートモーティブワールド2014」(2014年1月15〜17日、東京ビッグサイト)において、プログラマブルSoC「Zynq-7000」を用いた車載カメラシステムのデモンストレーションを披露した。

 Zynq-7000は、ARMのアプリケーション処理用プロセッサコア「Cortex-A9」をデュアルコア構成で搭載し、周辺機能や入出力機能(I/O)をFPGAのように再構成できるICである。展示ブースでは、ラジコンカーの前後左右4カ所に設置したOmniVision Technologies製の100万画素CMOSセンサーを搭載する車載カメラの映像をZynq-7000で処理することにより、さまざまな先進運転支援システム(ADAS)として利用できることを示した。

ザイリンクスのデモの様子 ザイリンクスのデモの様子。Zynq-7000で処理された後の映像が大型スクリーンに表示される(クリックで拡大)

 ラジコンカーに搭載されたADASの機能は2つのモードに切り替え可能である。1つは、発進時や駐車時などの低速走行モードで、もう1つは市街地や高速道路を走行する際の通常走行モードだ。低速走行モードでは、4個の車載カメラの映像を使って周辺の様子を見せる「3Dサラウンドビュー」と、歩行者検知機能が利用できる。一方、通常走行モードでは、ドライバーの死角にあたる部分の映像を表示するBSD(Blind Spot Detection)と、後方に設置した車載カメラの映像から車線を検知するレーンキープが利用可能になる。異なるモードへの切り替えは、Zynq-7000のFPGA部を書き換えるだけで行える。書き換えは1秒以内で完了するという。ザイリンクスは、こういった即時の書き換えが可能な機能を「ダイナミックリコンフィギュラブル」と呼んでいる(関連記事:“早変わりする”運転支援システムの実現へ、FPGAが車載機器に変革をもたらす)。

低速走行モードの「3Dサラウンドビュー」。車両の周囲を一望できるサラウンドビュー以外に、車両をさまざま方向から見た状態を映像で見せることもできる(クリックで拡大)
左側と中央の写真は、低速走行モードでバックモニターと歩行者検知機能を同時に利用している様子。右側の写真では、通常走行モードにおけるBSDやレーンキープの様子が示されている(クリックで拡大)

 Zynq-7000は、2011年3月の製品発表当初から、車載情報機器やADAS向けの展開に注力する方針を示していた(関連記事:Xilinx社の「Cortex-A9」搭載品、単価は15米ドルから)。米国本社Xilinxのオートモーティブ事業部でマーケティング/製品企画部門のシニアマネジャーを務めるケビン田中氏は、「これまでさまざま提案活動を続けてきたことによって、国内外の自動車メーカーが2014年中に量産を始める市販車のフロントカメラシステムにZynq-7000が採用されることになった。サラウンドビューシステムについても、2015年に量産される市販車に採用される見込みだ。従来、車載分野におけるFPGAの利用場所はインタフェース部がほとんどだったが、ついにシステムセンターとして用いられることになる」と成果を強調する。

 今後は車載カメラシステムだけでなく、ミリ波レーダーやレーザーレーダーなどとのセンサーフュージョンについてもIPの開発やユーザーによる評価を進めていく考え。また、デモで披露したダイナミックリコンフィギュラブルだけでなく、どのような環境下であっても車載カメラの検知能力を常に最適化できる「ダイナミックキャリブレーション」も開発中だという。

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