当社がこれまで支援してきたクラウドファンディングプロジェクトでは、必ずプレスリリースを作成してもらい、プレスリリース配信サービス「アットプレス」を活用して配信してもらうようにした。
現在、国内においてはさまざまなクラウドファンディングサイトが乱立状態にある。仮に大手のクラウドファンディングサイトに掲載することができたとしても、プロジェクト数が多すぎて、プロジェクト内容がかなり尖って目立つものではない限り、自分のプロジェクトが埋もれてしまう可能性がある。
クラウドファンディングのプロジェクトで生み出そうとしている自分の製品が、いかに画期的なものであっても、世の中の人に知ってもらえない限り、多くのパトロンから資金調達をすることは難しい。そのためにはプレスリリースを準備して、クラウドファンディングのスタートと同時にプレスリリースを配信することは必須だといえる。
プレスリリースの効果的な書き方に関しては、プレスリリースの書き方などのマニュアル本を参考にしつつ、マスメディアにアピールできる内容を研究しよう。運良くWebメディアや新聞などで取り扱ってもらうことができれば、大きな資金を得ることも可能だ。
>>【参考】ITmedia内サイトのニュースリリース送付先リスト
クラウドファンディングで目標の資金調達に成功するためには、まずは自分の身内や周囲の人に応援してもらうことが必須だ。「クラウドファンディングのサービスにプロジェクトを載せさえすれば、自動的に資金が集まる!」というのは、幻想だ。
まず自分の知人・友人に認めてもらい、パトロンとして支援してもらえるレベルの製品でないと、資金調達がなかなか難しいのが現実である。それなりの人的ネットワークを持っていなければ、プロジェクトが成功するのは難しい。目安としては、クラウドファンディングがスタートして2週間で目標金額の30%を集めることができれば、成功率は一気に高まる。
当社が支援している町工場のプロダクトの場合、町工場という仕事は経営者同士のつながりが深い。そう、経営者同士が「義理と人情」でつながっているのである。従って、町工場の経営者同士で、「あいつがクラウドファンディングやっているのだったら、いっちょ手伝ってやるか」という“町工場オヤジ”のロケットブースターが効きやすい。
ちなみに、zenmonoは、“町工場オヤジ”サポーターが多い。一般的なクラウドファンディングは、20〜30代のサラリーマン世代の支援者が多く、1人当たりの支援単価は4000円前後と想定される。それに対してzenmono場合、パトロン1人当たりの支援金額は、その約3倍の1万2000円程度である。
その理由はzenmonoのパトロンの大半が30〜40代の“町工場オヤジ”だからである。彼らは経営者なので、当然、一般のサラリーマンと比較して自由になる金額はそれなりにあるし、場合によっては会社として支援をすることも可能だ。特に、会社として支援する場合は、支援する金額もそれなりに大きくなる。
話が少々脇道にそれたが、クラウドファンディングの目標金額を集めるためには、金銭的に支援してくれるような「義理と人情」のネットワークを持ち、目標金額の30%程度はその人的ネットワークから調達できるような体制でないと、目標金額の達成は難しいだろう。
次回の後編では、モノづくりを行う際のクラウドファンディングを行う際に陥りやすいさまざまな失敗例とその対策を挙げていく。(次回へ続く)
三木 康司(みき こうじ)
1968年生まれ。enmono 代表取締役。「マイクロモノづくり」の提唱者、啓蒙家。大学卒業後、富士通に入社、その後インターネットを活用した経営を学ぶため、慶應義塾大学に進学(藤沢キャンパス)。博士課程の研究途中で、中小企業支援会社のNCネットワークと知り合い、日本における中小製造業支援の必要性を強烈に感じ同社へ入社。同社にて技術担当役員を務めた後、2010年11月、「マイクロモノづくり」のコンセプトを広めるためenmonoを創業。
「マイクロモノづくり」の啓蒙活動を通じ、最終製品に日本の町工場の持つ強みをどのように落とし込むのかということに注力し、日々活動中。インターネット創生期からWebを使った製造業を支援する活動も行ってきたWeb PRの専門家である。「大日本モノづくり党」(Facebook グループ)党首。
Twitterアカウント:@mikikouj
『マイクロモノづくりはじめよう〜「やりたい! 」をビジネスにする産業論〜』(テン・ブックス)
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