PTCは米国の紛争鉱物規制に関する作業を効率化できる「PTC Materials Complianceソリューション」をリリース。マネージドサービスで提供を開始する。
PTCジャパンは2013年11月18日、紛争鉱物開示規制に対応した「PTC Materials Compliance ソリューション」の提供開始を発表した。同ソリューションは米国で2014年5月末に最初の報告期限が迫る紛争鉱物規制に対応したもので、同ソリューションにより作業負担を軽減しつつ、同規制に対応することができるという。同社では紛争鉱物規制対策として、対応機能を加えた製品ライフサイクル管理(PLM)ソリューション「PTC Windchill」を既にリリースしているが、今回はマネージドサービスで単独のソリューションとして導入できるという(関連記事:「Windchill 10.2」は法規制対応機能を強化――米のUDI規則や紛争鉱物法など)。
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今回の紛争鉱物規制は2010年7月に発行されたドッド・フランク法(金融規制改革法)によるもの。「紛争鉱物」とは、コンゴ民主共和国など紛争地帯で採取される鉱物資源のことで、スズ、タンタル、タングステン、金が現在、指定されている。これらの資源の売買が紛争の原因となる武装勢力の資金源となっていることや、非人道的な労働によって生み出されていることを理由に、人権団体などから動きが起こり、法律化が進んだ。
ドッド・フランク法は、これらの「紛争鉱物」に制限を加えることで、紛争の縮小や非人道的な搾取の減少を目指そうとしたもの。これにより製造業には、製品に紛争鉱物が含まれるかどうかを開示する義務が発生。米証券取引所に上場する企業は2014年5月31日に最初の年次公開情報として、紛争鉱物の使用に関する情報を提出しなければならない。
今回の規制の要求事項は実質的にサプライチェーン全体に適用されるため、米国の上場企業に部品を供給する非上場企業まで影響を受ける可能性が高いとされている。また、米国への上場企業でなければ直接的な米証券取引所への報告義務などは発生しないが、Webサイトなどで取り組みを開示することが求められる。人権団体などが監視の目を強めており、情報開示努力が不十分とされた場合には、バッシングを受けるリスクなどもある。
基本的には以下の5つの質問に当てはまるものがある場合は「何らかの報告義務が発生する」(同社)という。
PTCジャパン PLM/ALM事業部 事業部長の成田裕次氏は「米国で上場している製造業は10社程度だが、その企業に製品を納入している企業となると数千社クラスになる。米国向け最終製品に関連する企業はほとんどが何らかの影響を受けることになる」と話している。
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