TransferJetコンソーシアムはCEATEC JAPAN 2013で、AR技術を活用したインタラクティブなデジタルサイネージ「MITENE(ミテネ)」に、近接無線転送技術「TransferJet」の機能を組み込んだ“コンテンツ転送システム”のデモを披露した。
TransferJetコンソーシアムは「CEATEC JAPAN 2013」(2013年10月1日〜5日、幕張メッセ)で、AR(Augmented Reality:拡張現実)技術を活用したインタラクティブなデジタルサイネージ「MITENE(ミテネ)」に、近接無線転送技術「TransferJet」の機能を組み込んだ“コンテンツ転送システム”のデモを披露。デジタルサイネージ端末のディスプレイに表示された情報コンテンツなどを、TransferJetにより、手持ちのモバイル機器に瞬時に転送できる点をアピールしていた。
TransferJetは1対1の通信に特化した近接無線転送技術で、NFC(Near field communication)のような使い勝手でありながら、最大560Mbpsと高速データ通信が行えるのが特長。「握手をするような感覚で、機器間通信/ファイル転送が行える」(説明員)ことから、現在、デジタルカメラやPC、USBクレードルなどの製品が販売されている。「インタラクティブなデジタルサイネージは集客力はあるが、なかなかビジネスに結び付かないとよく言われる。そこで、TransferJetを組み込んでみた。こうすることで活用の幅が広がるのではないか」と説明員。
MITENEは、ソニー・ミュージックコミュニケーションズが開発したインタラクティブデジタルサイネージシステムである。人の動きに反応してコンテンツを変化させる「リアルタイムエフェクト」や、性別などの属性に応じたコンテンツ再生を実現する「顔(属性)認識AR」などの機能を備える。公共/商業施設など、さまざまな場面でAR体験型広告を実現できるのが特長だ。今回、デモ用に写真撮影やクーポン発行などのアプリケーションを追加。「TransferJetと組み合わせることで、表示されている動画コンテンツや店舗のクーポン券などを、手持ちのスマートフォン/タブレット端末に転送できる。また、デジタルサイネージで写真撮影した画像データも気軽に転送できるため、『屋外版プリクラ』のような使い方も行える。MITENEとTransferJetを連動させたデモは今回のCEATECが初披露となる」と説明員。
会場では、男女の性別を認識して忍者や町娘などのキャラクターに“仮装”できるARコンテンツ(首を傾けると別のキャラクターに変更できる)や、画面内に表示されたキャラクターと一緒に写真撮影ができるARコンテンツ、手の動きにあわせてハートマークが放出されるARコンテンツなどを体験できた。既に、テーマパークへの導入に向けた検討も進められているそうだ。
当然ながら、コンテンツを受け取る側のモバイル機器もTransferJetに対応している必要がある。そのため、デモ環境では、間もなく登場する「TransferJet搭載USBアダプター」を取り付けたスマートフォンが用いられていた。
同年10月には、サンワサプライからUSBタイプとmicroUSBタイプの2種が発売される。また、東芝からも両USBタイプに対応した製品2種が同年12月に、TransferJet機能内蔵SDメモリーカードが2014年上半期にリリースされる予定だ。「まずは、外付けという形でPCやモバイル機器でのTransferJetの利活用を促進・活性化させていきたい。そして、この展開に併せて、(今回のサイネージのように)サービス側も盛り上げていけば、次第に機器に内蔵されていくのではないか」と説明員は語る。
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