「パイクスピークインターナショナルヒルクライム2013」の電気自動車(EV)を対象とするエレクトリッククラスで、「Team APEV with モンスタースポーツ」の「E-RUNNER パイクスピークスペシャル」を駆る田嶋伸博氏が優勝。予選で1位と2位だった三菱自動車の「MiEV EvolutionII」は、直前の降雨によるタイヤ交換の影響もあり、2位と3位に終わった。
「パイクスピークインターナショナルヒルクライム2013」の決勝レースが2012年6月30日(米国時間)、米国コロラド州コロラドスプリングスで開催された。電気自動車(EV)を対象とするエレクトリッククラスでは、電気自動車普及協議会(APEV)がパートナー企業と結成する「Team APEV with モンスタースポーツ」の「E-RUNNER パイクスピークスペシャル」を駆る田嶋伸博氏が優勝した。記録は9分46秒530で、内燃機関車を含めた総合順位でも5位と健闘した。
“モンスター”の異名を持つドライバーである田嶋氏は、APEVの代表幹事を務めるとともに、2013年4月からEVベンチャーのSIM-Drive(シムドライブ)の社長にも就任するなど、EVの普及に向けて積極的な活動を行っている。パイクスピークでは2011年まで6年連続優勝していたが、2012年は、EVレースカーであるE-RUNNER パイクスピークスペシャルに乗車し、エレクトリッククラスで参戦。練習走行で好記録をたたき出していたものの、決勝レースではスタートから1kmのところでモーターにトラブルが発生し途中棄権に終わっていた。今回優勝したことで、2012年の雪辱を果たしたことになる。
2013年のE-RUNNER パイクスピークスペシャルは、2012年の車両をベースに、信頼性の向上と軽量化を図った。さらに、シムドライブの技術支援による四輪独立制御も導入している。
6月27日の予選走行で1位と2位だった三菱自動車の「MiEV EvolutionII」は、増岡浩氏が2位(記録:10分21秒866)、グレッグ・トレーシー氏が3位(記録:10分23秒649)に終わった。同社のリリースによれば、決勝レース当日の午前中は青い空が広がっていたものの、やがて天気は下り坂となり、エレクトリッククラスの車両が走行する頃には強い雨で路面がぬれていたという。予選走行で1位だったトレーシー氏のMiEV EvolutionIIは、2013年から使用が認められたスリックタイヤを、溝付きのタイヤに交換することを余儀なくされた。
チーム監督兼ドライバーの増岡氏は、「道が完全にぬれているため、至るところでマシンがスライドした。まともに走れないような状況だったが、それでも何とか2台のマシンが無事フィニッシュできて良かった。優勝を狙っていただけに、結果はとても残念。雨が降り、運がなかった部分もあるが、自分たちの力不足を認識しさらに精進していきたい」と語る。
予選トップのトレーシー氏は、「優勝するつもりでいたので結果は残念。直前に降った強い雨で路面はまともに走れるような状態ではなく、フィニッシュできただけでも良しとするべきなのかもしれない。マシンをテストした時は常に晴れで、雨の走行経験が乏しかっことは事実。しかし、『MiEV EvolutionII』のドライ路面での走りは素晴らしかったので、次回また機会があれば優勝を狙いたい」と述べている。
4位に入ったのは、2012年のエレクトリッククラスで優勝したトヨタ自動車のモータースポーツ子会社Toyota Motorsport(TMG)製のEVレースカー「TMG EV P002」で走行したRod Millen氏(記録:10分24秒301)。
2009年から5年連続でパイクスピークのエレクトリッククラスに参戦している「チーム・ヨコハマ・EVチャレンジ」の塙郁夫氏が乗る「HER-02」はリタイヤとなった。
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